海外

2016.07.29

ロシア 海外安全対策情報(平成28年4月から6月)

平成28年7月28日
在ロシア日本国大使館領事部より

 海外安全対策情報(平成28年4月から6月)は以下のとおりです。

1 治安・社会情勢(一般治安情勢,政治的安定度,反政府勢力の動き,対日感情の変化)

(1)一般治安情勢
 ロシア内務省の発表によれば,2016年(1月~6月)の犯罪件数は全体で3%増加(前年同期比)しており,特にテロ的性質をはらんだ犯罪や過激主義による犯罪が増加している。ルーブル下落により物価が上昇し,市民生活にも影響が出てきている。今後景気後退による一般犯罪の増加や愛国主義の高揚による排外的機運の高まり等に注意していく必要がある。
 また,露内務省は,2016年1月から6月までにロシア国内で認知されたテロ関連犯罪が1,313件で,前年の同時期に比べ73.4%増加し,過激主義による犯罪登録件数は,830件で10.5%増加したと発表した。

(2)政治的安定度
 経済情勢の悪化を背景とした,賃金未払い等に対する抗議活動がロシア各地で発生している。本年9月18日には国家院選挙及び統一地方選挙が予定されており,このような抗議活動が拡大していくか注意が必要である。

(3)反政府勢力の動き
(ア)過去にロシア国内で頻繁にテロ事件を起こしてきた北コーカサスの武装勢力は,そのリーダーが相次いで殺害されたと報じられており,その活動も減退していると言われているが,北コーカサスの武装勢力がプレゼンスを示すことを狙ったテロを起こす懸念もあり,引き続き警戒が必要である。
(イ)2015年に,北コーカサス地方では,大きなテロは発生しなかったが,本年に入り,ダゲスタン共和国では2月及び3月に自爆テロや爆破事件が発生し,3月6日には,ISIL「コーカサス州」は,ロシア国内でのテロを呼びかけるビデオ声明を公表し,その後も,ダゲスタン共和国で警察車両を狙った爆破事件(3月29日)や治安当局との銃撃戦(5月14日)が発生している。また,4月11日スタヴロポリ地方でも自爆テロが発生した。
(ウ)ISILは,北コーカサス地方をISILの行政地区とすると一方的に宣言しており,昨年ロシアによるシリアへの空爆開始後,ロシアを攻撃対象にする旨の声明を重ねて公表している。
(エ)また,ISILには多数のロシア人等が参加しているとされ,シリアやイラクから帰還した者によるロシア国内でのテロの懸念が生じており,ロシア国内でこれらの者がテロを計画していたとして逮捕されている。

(4)対日感情
 ロシア国民の対日感情は一般的には良好であるが,過去に北方領土問題などで民族主義者や各種団体が当館に対する抗議を行ったこともあり,また,制裁導入への反発もあり複雑な側面がある。今後,同様の抗議活動が当館や日本関連団体・企業等に対して行われる懸念もあり,警戒が必要である。

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1)ロシア内務省は,2016年(1月~6月)のロシア連邦内の犯罪情勢について次のとおり発表した(以下の括弧内の数字は前年同期比)。
(ア)全犯罪の登録件数は,118万2千件(3%増)であり,この内90.3%が摘発された。
(イ)「テロ的性質をはらんだ犯罪」(登録件数1,313件(73.4%増))及び「過激主義による犯罪」(登録件数830件(10.5%増))で顕著な増加が見られた。(ウ)犯罪による死亡者数は,14,950人 (11.2%減)であった。公共施設における犯罪件数は42万3,287件(6.1%増)であった。

(2)【邦人一般犯罪被害】
●4月19日,邦人旅行者が地下鉄赤線オホトニリャド駅にてルビヤンカ駅方面に向かう車両に乗車しようとしたところ,何者かに押されるなどして気づいた時には財布や袋を盗まれた。なお,駅で当該車両を待っていた際,スラブ系の男に声を掛けられ,同じ車両に乗るように言われ,無視して別の車両に乗り込んだが一緒に同じ車両に乗ってくる不審な男がいた。
●5月25日,在留邦人が学校に迎えに行く途中に乗合タクシー(マルシュルートカ)を利用したところ,レニンスキー通りの学校近くにて降車しようとした際に別の人物に妨害され,その際に財布を盗まれた。
●5月30日,在留邦人が,勤務先のレストランの厨房に,パスポート,現金約8万ルーブル等の入った鞄を置いていたところ,席を外した際に,置き引き被害に遭った。

(3)【外国人一般犯罪被害】
●4月3日早朝,ドイツ人男性が,モスクワ市中央区ボロツナヤ川岸通りを散歩中,2人組の男からパスポート,財布(IDカード,現金数万ルーブル),携帯電話を盗まれた。
●4月16日午前5時頃,アゼルバイジャン人が,モスクワ市カニュシカフスカヤ通りにおいて,タクシーに乗車中,運転手と口論となり,運転手から暴行を受けた。
●5月5日,警察は,地下鉄内で外国人を暴行して怪我をさせたとして,ネオナチグループ「スキンヘッド」のメンバーである10代の男4人を逮捕した。被疑者らは,地下鉄のスコベレフスカヤ駅とビツェフスキー・パルク駅の間において,乗客のタジキスタン人男性に殴る蹴るの暴行を加えたほか,ガススプレーを顔に噴射して傷害を負わせ,現場から逃走したもの。

(4)その他
●4月4日,警察は,盗みを行っていたヴヌコヴォ空港の荷物取扱担当者の集団を拘束した。法執行機関には,昨年,被害者から200件の通報があった。警察は,この期間に乗客の持ち物を盗んでいた空港の荷物取扱担当者や地上機関職員50人を拘束した。
●4月7日,警察は,南部連邦管区出身の23歳の無職の男を強盗の容疑で逮捕した。容疑者は,モスクワ市ブリュレフスカヤ通り路上で通行人を脅し携帯電話を奪い逃走した疑い。
●4月8日夕方,モスクワ市地下鉄カルーシスカヤ駅付近を走行中の地下鉄車内で,2人の男が口論となり,一方が殺傷能力の低い拳銃を2発以上,相手の頭へ発砲し,逃走した。
●4月27日夜,モスクワ市ジャブリコボにおいて,被害者の男性がエレベーターに一緒に乗り込んできた見知らぬ男にナイフと催涙スプレーで脅され,現金等を奪われた。その後警察は,35歳の北コーカサス出身の男を強盗容疑で逮捕した。
●5月14日,モスクワ市ホバンスコエ墓地において,大規模な乱闘が発生した。乱闘に参加したのは,北コーカサス,中央アジア出身者等。負傷者は救急車で搬送されたが,詳細な人数は不明。
●5月23日,モスクワ市西部行政管区警察当局は,勝利広場で同日発生した強盗事件について,中央アジア出身の38歳の男性を犯行現場付近で逮捕した。同容疑者は,ナイフで被害者を脅迫し,現金及び携帯電話を奪い取った。
●6月9日,警察は,詐欺の容疑で31歳の無職の男を逮捕した。被疑者は,モスクワ市ヤロスラヴスキー区のスーパーマーケットにおいて,警察官を装い,被害者に万引きの嫌疑をかけ,刑事処分を免れる代わりに金銭の支払いを要求したもの。その後の捜査により,被疑者宅から偽の警察官の身分証明書が発見された。

3 テロ・爆弾事件発生状況

(1)邦人被害なし。
(2)テロ・爆弾事件(未遂)発生事例
●4月11日午前10時頃,ロシア南部スタヴロポリ地方ノヴォセリツキー地区において,警察署を狙った自爆テロ事件が発生した。事故調査委員会の報道官によると,男3人が手榴弾を爆発させ内務省の建物に侵入しようとしたことから,警察官が発砲し,容疑者2人を射殺。1人が自爆したが,警察職員及び一般住民には被害はなかった。
●4月12日,露連邦保安庁(FSB)は,シリアとイラクにおいて国際テロ組織に関与しているとみられるロシア国籍者は2,900人以上いると発表した。同発表によると,テロ組織に関与している者のうち198人はロシア国外の戦闘で死亡したものの,それ以外の214人はロシアに帰国し,国内に潜伏しているとされる。また,同発表では,サンクトペテルブルクにおいて,「イスラム国」で軍事訓練を受けていたロシア人の男1人の身柄を拘束したことを明らかにした。
●4月16日,コロコリツェフ内務相は,モスクワ市内の違法タクシー取締りについて発表した。4月5日から13日にかけて,モスクワ市内で違法タクシー取締り作戦「タクシー」が実施され,17万3千人の運転手について検査を実施した。この結果,検査した運転手の内,40%以上が外国人であった。また,このうち902人の運転手が刑法上の前科を有していることが判明した。さらに,同相によると,調査した運転手の中から,国際手配されていた「イスラム国」の勧誘員が発見され,拘束された。
●5月4日,露連邦保安庁(FSB)は,5月の連休中にモスクワ地域でテロ行為を計画していた中央アジア出身者のグループをモスクワ市内で拘束した。FSBの発表によると,同グループは,シリア及びトルコ領域内で活動している国際テロ組織の指導部から命令を受けて活動していた。大量の武器,爆発物,その他テロ活動に関する機材が押収されている。
●5月4日,露連邦保安庁(FSB)は,ヴォルゴグラード州においてテロ活動の準備をしていた5人のイスラム過激派を拘束した。同グループのメンバーは地元の住民に対し,ロシアで活動を禁じられている国際的テロ集団「イスラム国」への参加を呼びかけていた。5人はイスラム武装集団「パラソフスキー・ジャマート」のメンバーで,同地でのテロの実行を計画していた。拘束された男の家の捜索では,爆発物,ライフルの他,過激な宗教思想の書かれた本が発見・押収された。
●5月9日,チェチェン共和国アルハン・カラ居住区辺境の検問所に,2人の戦闘員が攻撃を行った。警察官が旅券のチェックのため検問所から出て行くと,戦闘員のうち1人は衣服の下に装着していた自爆ベルトを作動させた。この際,もう1人の戦闘員は検問所の方向に手榴弾を投げ,警察官に向けて発砲しようとしたが,別の警察官によって射殺された。チェチェン内務省の発表によると,この事件によりバシコルトスタン共和国内務機関から出張していた6人の警察官が負傷した。
●5月12日,ダゲスタン共和国の警察官は,身分証明書の確認を試みた際,警察官に発砲した犯人2人を射殺した。 緊急事態はブイナクスク地区のタルギ村近くで発生した。
●5月21日,国家反テロ委員会は,イングーシ共和国において,「イスラム国」と関連する非合法集団のメンバーによる活動を阻止した旨発表した。イングーシ共和国作戦本部,連邦保安庁支部及びロシア内務省支部による合同捜査によって,国際テロ組織「イスラム国」と関連する非合法集団の秘密メンバーによる犯罪活動を阻止した。ナザルノフスキー地区において,「ならず者」によって作られた秘密武器庫が発見され,殲滅された。ここから,使用可能な状態にある手製爆破装置,手榴弾,カラシニコフ銃,外国製の物を含む消音装置付きピストル,射撃武器用の2千以上の弾薬が押収された。
●本年4月から6月の間,4月11日クルスク駅,6月12日リトカリノのショッピングセンター,6月15日ヤロスラブリ駅,レニングラード駅,カザン駅,クルスク駅,ベラルーシ駅等にて虚偽と思われる爆弾通報により緊急の避難措置が取られた。

4 誘拐・脅迫事件発生状況

(1)邦人事案なし
(2)その他  特になし。

5 日本企業の安全に関わる諸問題

(1)日本企業に対するものではないが,時折,当館に対して領土問題に関する抗議活動が行われることがある。領土問題については,日系企業や団体,在留邦人,邦人旅行者であっても言動等に注意が必要である。
(2)近年,ロシアでは外国人管理が厳格化されており,軽微な交通違反等であっても複数回違反した場合,入国禁止処分を受けることもあるので,法令違反には注意が必要である。また,不法滞在の処罰も厳格化しており,うっかり気づかず数日間査証が切れても不法滞在として裁判を受ける可能性があるので,日頃から査証の有効期限のチェックが必要となっている。また,最近,地下鉄駅,主要幹線道路等で警察により取り締まりが行われており,旅券提示を求められる場合が多く,所持していないと警察署に連行されるため,旅券携行を徹底する必要がある。

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