海外

2026.09.24

アメリカ(米国)|Fビザ(学生ビザ)等のルール変更について(9/24更新)

2026年9月15日に施行が予定されていた、米国土安全保障省(DHS)による「F(留学生)・J(交流訪問者)・I(外国報道関係者)」の各ビザの滞在期間に関する新たなルールについて、9月14日、米国マサチューセッツ州連邦地方裁判所が全国規模で施行を延期する仮差止め命令を発出しました。

これにより同ルールは9月15日に施行されず、従来の「Duration of Status(D/S、在留資格維持期間)」の枠組みが全米で引き続き維持されています。当地在外公館も、対象となるビザをお持ちの方や今後申請・渡米を予定されている方に向けて、米国政府の公式発表に留意するよう注意喚起を行っています。

なお本命令は訴訟の結論を示すものではなく、当面は従来のルールが維持される見通しではありますが、次回期日が10月2日に指定されており、政府側による上訴も見込まれておりますので、今後の情勢は引き続きご注視いただくことをお勧めいたします。

原告団体による共同声明(Presidents' Alliance on Higher Education and Immigration)|Plaintiffs' Statement on Nationwide Preliminary Relief in Duration of Status Lawsuit

ここがポイント!
  • 2026年9月14日、連邦地方裁判所が全国規模の仮差止め命令を発出し、9月15日に予定されていた新ルールの施行が延期されました。米国土安全保障省(DHS)および 米国移民・関税執行局(ICE)は、訴訟が継続する間、同ルールを実施・執行することを禁じられています。
  • F・J・Iの各ビザで入国される方は、引き続きD/S(I-94に具体的な満了日が記載されない方式)による入国許可を受けることになります。滞在期間の延長手続き、卒業後の出国準備期間、OPT・STEM OPTの申請要件についても、従来からの変更はありません。
  • 本命令は暫定的な措置であり、ルールが無効と確定したものではありません。2026年9月24日時点で政府側の上訴は確認されておりませんが、10月2日に次回期日が指定されており、上訴の可能性も指摘されています。

仮差止め命令の内容と、米国へ留学予定の方等への注意点

仮差止め命令は「実施の延期」であり、ルールそのものを無効とする終局的な判断ではありません。
裁判所は、原告側が求めていた規則の取消し および 略式判決について、いずれも将来の再申立てを妨げない形で退けており、これらの点は訴訟の進行に応じて改めて審理される余地が残されています。差止めの効力は「裁判所のさらなる命令、または本案における解決まで」とされています。

渡航や各種申請のご判断にあたっては、その時点で実際に効力を有している規定と、所属機関からの最新の案内をご確認いただくことをお勧めいたします。

なお学生ビザに関する一般的な手続きや要件については、米国国務省のウェブサイトが公式の案内となります。
米国土安全保障省(DHS)の学生向けポータル「Study in the States」では、当初9月15日以降に新ルールを反映した内容へ更新する予定とされていましたが、今回の命令を受けて取扱いが変わる可能性がありますので、掲載内容の日付をあわせてご確認ください。

項目 現在の取扱い
(2026年9月24日時点)
入国時の滞在期限 従来どおりD/Sが適用されます
F・Jの各ビザでは、I-94の「Admit Until Date」欄に具体的な日付ではなく「D/S」と記載されます
滞在期間の延長 従来どおり、所属機関のDSO(指定学校職員)・RO(責任担当官)を通じたI-20/DS-2019の延長手続きによります。USCISへの滞在延長(EOS)申請は不要です
転校・専攻変更
及び 教育レベルの変更
新ルールで予定されていた制限は適用されません。従来の規定に基づく取扱いが継続します
卒業後の出国準備期間 Fビザは従来どおり60日間です(30日間への短縮は適用されません)
卒業後OPT・STEM OPT 申請の時期や要件に変更はありません。I-9(就労資格確認)の取扱いにも変更はありません
Iビザ(外国報道関係者) 最長240日(中国本土発行旅券の保持者は90日)とする制限は適用されません
申請書式 9月15日から必須となる予定であった様式I-539 および I-765の新版は、本命令に伴い適用が見送られています

【ご参考】延期されたルールの主な内容

今回の命令により施行が見送られたルールには、以下の内容が含まれていました。
現時点では適用されていませんが、訴訟の結果によっては将来的に実施される可能性がありますので、長期の留学・赴任をご計画中の方は、制度変更の方向性としてご承知おきください。

【Fビザ】一部のプログラムに設けられる滞在期間の上限

<下記について現在は適用されていません>
Fビザの学生のうち、以下の課程に在籍される方については、上記の原則とは別に固有の上限が設けられます。
語学留学や高校留学をご検討中の方は、特にご確認いただくことをお勧めいたします。

  • 語学研修(English language training)課程:滞在期間は24か月が上限とされ、これに出国準備のための30日間が加算されます
  • 公立高校(チャータースクール等、米国の公費で運営される同種の学校を含む):学期休みや年次休暇を含めた通算で12か月を超えて課程を修了することはできないとされています
  • 国境通勤学生(border commuter students):従来どおり、期限を定めた形での入国許可が付与されます
【Fビザ】学業上の変更に関する新たな制限

<下記について現在は適用されていません>
滞在期間だけでなく、在学中の進路変更についても新たな制限を設けています。
学部・大学院のいずれに在籍されるかによって取扱いが異なりますので、進学や転校を視野に入れて留学を計画されている方は、事前に詳細をご確認ください。

併せて、課程の終了後については、より低い教育レベルの家庭への入学(例:修士課程から学士課程へ)と、同じ教育レベルの家庭への入学(例:学士課程から別の学士課程へ)が、いずれも禁止されます。

【Fビザ】滞在延長(EOS)の手続き等

<下記について現在は適用されていません>
在籍中のプログラムの修了、新たなプログラムの開始、または卒業後OPT・STEM OPTへの参加のために追加の期間が必要となる場合、I-94のAdmit Until Dateを超えて滞在されるには手続きが必要です。EOSを申請される場合の流れは、まず所属校のDSOにご相談のうえ、EOSの推薦が記載された新しいI-20の交付を受け、そのうえで様式I-539「Application to Extend/Change Nonimmigrant Status」を期限内に提出し、所定の手数料の納付と生体情報の提供を行う、というものです。

もう一つの選択肢として、いったん米国を出国し、再入国時にCBPから新たな入国許可を得る方法も公式に示されています。有効なビザをお持ちの方は、更新されたSEVIS記録と証明書類に基づき、新たな期間が記載されたI-94の交付を受けることが可能とされています(入国資格・入国適格性の要件を満たすことが前提となります)。どちらの方法が適切かは個々のご事情によって異なりますので、DSOへご相談いただくことをお勧めいたします。

これまでの経緯

D/S(在留資格維持期間)は、Fビザについては1991年、Jビザについては1993年から運用されてきた枠組みで、Iビザについても1980年代半ばから同様の取扱いがなされてきました。入国記録に満了日を記載せず、学業や取材活動を適切に継続している限り滞在を認めるこの方式は、30年以上にわたり米国の標準的な運用となっていました。

米国土安全保障省(DHS)は2025年8月28日に規則案を公示し、パブリックコメントを経て2026年7月16日に最終規則を発表、翌17日に連邦官報へ公示しました。DHSはこれらの在留資格を永住権取得への「橋渡し」ではなく一時的な滞在資格として位置付け直すことを目的として説明していましたが、大学・研究機関や報道機関からは強い懸念が示され、8月18日の提訴に至りました。

8月25日には、カリフォルニア州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州など複数の州の司法長官が、原告側を支持する意見書を提出しています。なお、米国に取材拠点を置く日本の新聞・通信・放送15社も、報道関係者向けビザの変更について再考を求める意見をDHSへ提出していたと報じられています。


免責事項および注意喚起
本記事に記載の情報は、記載時点(2026年9月24日)における公開情報に基づいています。本件は訴訟が継続中であり、裁判所の今後の判断、上訴の結果、または議会審査により、取扱いが変更される可能性があります。

  • 渡航前に必ず米国国務省・米国土安全保障省(DHS)・米国市民権移民局(USCIS)の公式サイト、外務省海外安全ホームページ、および所属される教育機関・受入機関の最新案内をご確認ください。
  • 本仮差止め命令は「実施の延期」であり、規則が無効と確定したものではありません。裁判所のさらなる命令または本案の解決により、規則が施行される可能性があります。2026年10月2日に次回期日が指定されていますが、同日をもって差止めの効力が終了することを意味するものではありません。
  • 本記事作成時点で政府側の上訴、およびDHS・SEVP・CBPによる命令後の運用通知は確認されておりませんが、いずれも今後行われる可能性があります。上級審の判断により、本記事に記載の取扱いが変更される場合があります。
  • 本記事の「延期されたルールの主な内容」は、現時点で適用されていない内容を参考として記載したものです。これに基づいて留学計画や渡航日程を変更されることのないよう、ご留意ください。
  • 個々の在留状況・入国日・渡航歴・プログラム内容によって適用される取扱いは異なります。ご自身に適用される規定については、所属機関のDSO・ROまたは移民法の専門家へご確認いただくことをお勧めいたします。
  • 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、移民法上の助言を行うものではありません。記事内容に基づいて生じた渡航上の損害・不利益、入国拒否、滞在資格の喪失その他の事態について、当サイトは一切の責任を負いません。

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