海外

2026.09.04

アメリカ(米国)|H1-Bビザの手数料を10万ドル超に引き上げる案を公表

米国土安全保障省(DHS)は2026年8月25日、年間発給枠の対象となるH-1B(一時就労・専門職)ビザ申請1件につき、10万3265ドルの追加手数料を課す規則案を連邦官報に掲載しました。

対象となるのは新規の年間発給枠対象申請で、手数料は申請者である雇用主が申請提出時に支払う想定です。
既存の各種手数料を置き換えるものではなく、上乗せされる新設の独立した手数料とされています。ただし現時点では規則案の段階であり、支払い義務は生じていません。

米国への赴任・現地採用をご検討の企業ご担当の方、および米国就労を予定される方は、最終規則の動向を継続的にご確認いただくことをお勧めいたします。

連邦官報(Federal Register)|Fee for Certain H-1B Petitions」(FR Doc. 2026-17324)

ここがポイント!
  • 提案されている追加手数料は申請1件あたり10万3265ドルで、既存手数料に上乗せされる新設の独立手数料です。申請時に雇用主が支払う想定とされています
  • 対象は新規の年間発給枠対象申請(一般枠6万5000件 および 米国修士号以上の特別枠2万件)に限られ、高等教育機関や非営利研究機関などによる免除申請は対象外とされています
  • 現時点では施行されておらず、支払い義務は生じていません。パブリックコメント公募は2026年9月24日までで、最終規則化には相応の期間を要するほか、訴訟による争いも想定されています

専門職で米国への赴任・就労を予定される方への影響等

本規則案は、これから米国で専門職として就労を開始される方の入国手続きそのものを制限するものではなく、雇用主側が負担する費用構造を変更する内容です。そのため、直接的な影響を受けるのは、H-1Bの抽選(キャップ)を経て新規に就労を開始される方と、そのスポンサーとなる企業となります。

なお、すでにH-1Bステータスで米国に滞在されている方の在留期間延長や雇用主変更などの申請は、キャップの対象外である限り本手数料の対象にはならないとされています。

また、この手数料が大統領布告に基づく支払い義務と重複する場合には、申請者は双方を支払う必要があるとの整理も明記されています。なお、申請が不許可・却下・取下げとなった場合の返金の可否については規則案で言及されていないとの指摘が、米国の移民法専門事務所から出ています(この点は規則本文ではなく専門メディアによる分析に基づく情報です)

項目 内容
提案手数料額 申請1件あたり10万3265ドル
対象 H-1B 年間発給枠対象申請
(一般枠6万5000件/米国修士号以上の特別枠2万件を含む)
対象外 年間発給枠免除申請
(高等教育機関、関連・提携非営利団体、非営利研究機関、政府系研究機関などによる申請)
支払者・支払時期 申請者(雇用主)が、米国市民権・移民局(USCIS)への申請提出時に支払い
既存手数料との関係 既存の申請手数料等に上乗せ
大統領布告に基づく支払い義務がある場合は、双方の支払いが必要とされています
法的根拠(DHSの説明) 移民国籍法(INA)286条(j)(m)(n)等。8 CFR 106.2(a)(3)(xii)に新規に規定

手数料をめぐる経緯と今回の規則案の位置づけ

今回の規則案は、2025年9月19日に発出された大統領布告10973に基づく10万ドルの支払い義務をめぐる一連の司法判断を受けたものです。同布告は、2025年9月21日以降に提出される一部の新規H-1B申請(主に米国外にいる受益者に対する領事審査案件)を対象としていました。

2026年6月8日、マサチューセッツ州連邦地方裁判所は、この措置は大統領の権限を超える「課税」に当たるとして、実施のための指針を無効としています。政府は控訴しましたが、2026年7月24日、第1巡回区連邦控訴裁判所は執行停止の申立てを退けており、10万ドルの支払い義務は現在効力を有していません。なお、ワシントンD.C.の連邦地裁では反対の判断が示されており、最終規則が成立した場合には改めて訴訟で争われる可能性が高いとの見方が、複数の米国移民法事務所から示されています。


免責事項および注意喚起
本記事に記載の情報は、記載時点(2026年9月1日)における公開情報に基づいています。本件は規則案(NPRM)の段階であり、パブリックコメントを経て内容が変更される場合や、最終規則化に至らない場合があります。また、司法判断や大統領布告の失効・延長により、関連する手数料の取扱いが変動する可能性があります。

  • H-1B申請をご検討の際は、必ず米国市民権・移民局(USCIS)公式サイトおよび連邦官報の最新情報をご確認ください。
  • 本規則案は現時点で施行されておらず、現在提出中または今後提出予定の申請に本手数料を上乗せして納付する必要はありません。最終規則で発効日および経過措置が定められるまでは、従来どおりの手数料でのお手続きとなります。
  • 大統領布告10973に基づく10万ドルの支払い義務については、複数の裁判所で判断が分かれております。個別案件の取扱いについては、米国移民法に精通した弁護士等の専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。
  • 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。記事内容に基づいて生じた渡航・就労・雇用手続き上の損害・不利益、申請の遅延や不許可等について、当サイトは一切の責任を負いません。

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