海外

2021.10.21

イラクの危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)

危険レベル・ポイント

【危険度】
●ニナワ県(以下に規定するニナワ平原経由幹線道路を除く。)、キルクーク県、サラーハッディーン県、アンバール県、バグダッド県(以下に規定するルート・アイリッシュ、バグダッド国際空港敷地内及びインターナショナル・ゾーン(以下「IZ」という。)を除く。)、ディヤーラ県、バービル県、ワーシト県、並びにクルディスタン地域(エルビル県、スレイマーニーヤ県及びドホーク県)のニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近(以下に規定するニナワ平原経由幹線道路を除く。)
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)

●エルビル県エルビル市とドホーク県ドホーク市間を移動する場合に通過するニナワ県のカラク、バーダラシュ、ルビア及びバーダラを経由する幹線道路並びにこれ以北のニナワ平原を通過する幹線道路(以下「ニナワ平原経由幹線道路」という。)、バグダッド国際空港とIZを結ぶ空港道路(以下「ルート・アイリッシュ」という。)並びにIZ
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
(真にやむを得ない事情でこれらの道路を通過、又はIZに渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

●エルビル県(エルビル市並びにニナワ県、キルクーク県及びサラーハッディーン県との県境を除く。)並びにスレイマーニーヤ県及びドホーク県のトルコ、イラン又はシリアとの国境付近
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

●中南部・南部7県(カルバラー県、ナジャフ県、ディワーニーヤ県、バスラ県(バスラ国際空港敷地内を除く。)、ムサンナー県、ズィーカール県及びミーサーン県)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない事情で現地に渡航・滞在する場合には、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

●バグダッド国際空港敷地内(バグダッド国際空港敷地内のホテル及びイラク航空国際ビジネスセンターを含む。)並びにバスラ国際空港敷地内
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない理由からこれら施設敷地内に立ち入る、又は滞在する方は、専門家のアドバイスを受け、空港敷地内での滞在期間を必要最小限にするなど、十分な安全対策を取ってください。)

●エルビル県エルビル市、並びにスレイマーニーヤ県及びドホーク県のうちトルコ、イラン又はシリアとの国境付近並びにニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近を除く地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)

【ポイント】
イラクでは、2017年12月に政府によりイスラム過激派組織「イラクとレバントのイスラム国」(ISIL)からの全土解放が宣言されましたが、ISIL分子によるテロが引き続き発生していること等を踏まえ、レベル3以上の地域には、原則、どのような目的であれ渡航は止めてください。

●武装グループとイラク政府との間で駐留米軍戦闘部隊のイラクからの撤退期限である2021年12月31日まで、米国権益に対する攻撃休止に合意したと発表されましたが、現在も武装グループの分派による米国駐留基地へのロケット弾や爆発物を搭載したドローンによる攻撃が散発しており、引き続き流れ弾等による誤爆に巻き込まれないよう警戒が必要です。

●2021年1月21日、バグダッド中心部のタヤラーン広場付近の市場で、自爆ベストを用いた無差別テロが発生し、死者32名、負傷者110名にのぼる大事件となりました。また、この6か月後の7月19日、バグダッド東部のサドル・シティー地区にあるアルワヒーラート市場で、死者35名、負傷者57名の自爆テロが発生しました。いずれのテロ事件もISILが犯行声明を発出しており、人が多く集まる場所や米国が関係する祝祭日、宗教祭事期間中は特に警戒が必要です。

●2021年9月5日、エルビル市内で複数のテロ攻撃を計画していたISILの工作員7名が治安当局に逮捕されました。捜査における供述によると、外国人が頻繁に訪れる場所や市内で最も人が集まる城塞付近の市場で、車両爆弾テロを企てていた模様です。これまで比較的治安が保たれていたエルビルにおいても、人が集まる場所へは近寄らない等注意が必要です。

●2021年10月10日にイラク国民議会選挙が行われました。選挙結果に対する抗議デモなどの頻発や、治安部隊等との衝突も予想されます。政党事務所周辺や政府関係施設付近には近づかない等細心の注意が必要です。

●新型コロナウイルス対策の一環で、 新型コロナウイルス非感染証明書の所持が義務化されています。イラクでは、新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にありますが、イラク国内の医療事情やイラク国民のワクチン接種率を踏まえれば、感染予防対策を含む健康への留意が極めて重要です。

詳細

1 概況
(1)2014年6月以降、 ISILがイラク北部及び西部を中心に勢力を拡大させていましたが、有志連合の支援を受けたイラク軍による掃討作戦を経て、2017年12月、イラク政府はISILからのイラク全土解放を宣言しました。しかしながら、イラクにはいまだ3000人を超すISILの残党が存在しているとの見方もあり、ニナワ県、アンバール県、サラーハッディーン県、キルクーク県等の一部地域ではテロ事案や治安当局による掃討作戦による衝突が頻発しています。
また、戦闘員が北部県の一部の都市地域に達し、新たな攻撃を計画している疑いがあるとされています。

(2)2019年10月初旬から、バグダッド県や中南部・南部諸県を中心に、公共サービスや高い失業率の改善、汚職の撲滅等を求める抗議デモが発生しました。現在も、特に南部バスラ周辺においては厳しい気候の中、断続的な停電や飲料水の供給不足や給料未払いなど、市民の生活に直結する不満が溜まっており一部では過激なデモが発生しています。また、部族間の衝突も散発しており、発砲事案による死者も発生しています。

(3)2020年1月3日、イランのソレイマニ革命ガード・コッヅ部隊司令官及びイラクのムハンディスPMU副司令官が米国の空爆によりイラクのバグダッド空港付近で殺害されたことを受け、同8日、イラン側がイラク国内の米軍駐留基地に対してミサイル攻撃を行いました。こうした一連の事態を受け、イラク国内の治安情勢は著しく緊迫しました。その後、両国間で直接的な攻撃事案は発生していませんが、イラク国内の治安情勢は周辺諸国の動向等の影響を受けやすいため、今後の中東情勢がイラクに与える影響に十分な注意が必要です。

(4)武装グループが米国軍駐留基地等の米国権益に対して、ロケット弾や爆発物を搭載したドローンを使った攻撃を行う事案も散発的に発生しています。2021年1月から9月末までの間にイラク全土で31件発生しており、その内エルビルに所在する基地等を標的にした攻撃が6件発生しています。これらの攻撃は主にイラク国内に駐留する米国軍や有志連合軍のイラク領土からの完全撤退が早期に実現するよう、武装グループが圧力をかけているものとされています。2021年9月、イラク国家安全保障顧問は、イラク国内の武装グループとイラク政府との間で、外国軍の撤退期限である2021年12月31日までの間米国権益に対する攻撃を休止するとの合意形成がされた旨発言しましたが、武装グループの分派により引き続き攻撃が行われています。なお、この合意には、米国軍や有志連合軍への物資運搬車列に対する簡易爆弾による攻撃は含まれておらず、引き続き攻撃が頻繁に発生しています。

(5)2021年1月21日に、バグダッド市街中心部のバブ・アルシャルキ地区にあるタヤラーン広場にて、2件の自爆テロ事件が発生し、死者32名、110名の負傷者も出ました。この事件に対し翌日ISILが犯行声明を出しました。
イラク治安当局や有志連合軍は1月21日の自爆テロ事件を受け、ISILの掃討作戦を強固に実施し、イラク首相が1月28日イラクISIL副指導者とされるアブー・ヤーセル・アルイーサウィーを治安部隊の作戦により殺害したと発表しました。また、バグダッドにおいて更なる自爆テロを企てていたISILの工作員を拘束し、これを未然に阻止したと治安当局より発表されるなど、ISILとの攻防が繰り広げられました。
更に、6か月後の7月19日、バグダッド東部のサドル・シティー地区にあるアルワヒーラート市場で自爆テロによる死者35名、負傷者57名の事件が発生しました。これは犠牲祭(イード・アルアドハー)前夜の買い物客で混雑していた中で実行されました。これに対して即座にISILが犯行声明を発出し、「アブー・ハムザ・アルイラーキー」として知られるメンバーが実行した旨主張しています。
こうした一連の自爆テロが首都バグダッドで続いて発生したことで、2017年以降イラクにおける勢力が減退していたISILが、現在でも攻撃能力があることを誇示する狙いがあったとされます。この他、イラク北・西部においても、ISILによる送電施設に対する攻撃も多数発生しており、ISILの活動が活発化しています。一方で、7月19日、イラク治安部隊は、イラク国内でISILの「バグダッドのワーリー(Governor)」を拘束した旨発表、10月11日には、イラク首相が、ISIL財務責任者のサーミー・ジャーシムをイラク国外で拘束したと発表するなど、イラク当局によるISIL幹部の拘束も続いています。

2 地域別情勢
(1)ニナワ県(ニナワ平原経由幹線道路を除く。)、キルクーク県、サラーハッディーン県、アンバール県、バグダッド県(ルート・アイリッシュ、バグダッド国際空港敷地内及びIZを除く。)、ディヤーラ県、バービル県、ワーシト県並びにクルディスタン地域(エルビル県、スレイマーニーヤ県及びドホーク県)のニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近(ニナワ平原経由幹線道路を除く。)
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)

ア ISILに対する「勝利宣言」はなされたものの、イラク北部及び西部のニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県、ディヤーラ県及びアンバール県では、米軍の支援を受けたイラク治安部隊等によるISIL残党の掃討作戦が継続しており、2019年7月7日からは「勝利の意志作戦」と呼ばれる大規模な掃討作戦が実施されました。一部地域では、イラク軍などによる空爆も行われていますが、ISIL分子による治安部隊や一般市民に対するテロ等が続いており、多数の死傷者が発生しています。これらの地域では、幹線道路や市街地等のみならず、あらゆる場所で爆破、放火、銃撃といった事件が多数報告されています。

イ バグダッド県では、イラク政府による首都治安対策の強化により、テロ事案件数は大幅に減少していますが、いわゆるバグダッド・ベルト地域(バグダッド県周辺部)では、テロ・犯罪事案が依然として多発しています。2021年1月21日にバグダッド市街中心部のバブ・アルシャルキ地区にあるタヤラーン広場にて、2件の自爆テロ事件が発生し、死者32名、110名の負傷者が出ました。この事件に対し翌22日にはISILが犯行声明を出しました。イラク治安当局や有志連合軍は1月21日の自爆テロ事件を受け、ISILの掃討作戦を強固に実施し、イラク首相が1月28日には、イラクISIL副指導者とされるアブー・ヤーセル・アルイーサウィーを治安部隊の作戦により殺害したと発表しました。また、バグダッドにおいて更なる自爆テロを企てていたISILの工作員を拘束し、これを未然に阻止したと治安当局より発表されるなど、ISILとの攻防が繰り広げられています。6月3日には、バグダッド市カーディミーヤ地区のモスク付近で爆発事案があり、4名が死亡、20名が負傷し、翌4日にISILが犯行声明を発出しました(ただし、原因はガスシリンダーの爆発によるものとする報道もあり)。更に、7月19日、バグダッド東部のサドル・シティー地区にあるアルワヒーラート市場で自爆テロによる死者35名、負傷者57名の事件が発生しました。これは犠牲祭(イード・アルアドハー)前夜の買い物客で混雑していた中で実行されました。これに対して即座にISILが犯行声明を発出し、「アブー・ハムザ・アルイラーキー」として知られるメンバーが実行した旨主張しています。
こうした一連の自爆テロが首都バグダッドで続いて発生したことで、2017年以降イラクにおける勢力が減退していたISILが、現在でも攻撃能力があることを誇示する狙いがあったとされます。

ウ バービル県やワーシト県では、バグダッド・ベルトに近い地域において、ISILなどの反政府組織による活動・拘束事案が引き続き報告されています。また、2020年9月以降、米国軍や有志連合軍への物資運搬車列が走行中に簡易爆弾による攻撃を受ける事案も頻繁に発生しています。

エ 2020年1月8日、アンバール県の米軍が駐留するアイン・アサド空軍基地にイランが発射した弾道ミサイルが着弾し、死者は発生しなかったものの、2月10日時点の米国防省発表によれば、米軍兵士109名が軽度の外傷性脳損傷と診断されました。また、武装グループによるものと見られる、アイン・アサド空軍基地へのロケット弾や爆発物を搭載したドローンによる攻撃が2021年1月から9月末までに9件発生しており、7月7日に発生したロケット攻撃の際には米兵2名の負傷者も出ています。

オ サラーハッディーン県に所在し、米国軍戦闘機の整備を委託している米国企業が駐在するバラド空軍基地に対する、武装グループによるものと見られるロケット弾攻撃が2021年1月から9月末までに6件発生しており、イラク人の負傷者も出ています。

カ 2021年4月14日、ニナワ県モースル郡バアシーカのトルコ軍駐留拠点を標的とするロケット攻撃が発生し、トルコ兵1名が死亡しました。また、9月24日にも、バアシーカ近郊のトルコ軍駐留拠点近くに5発の迫撃砲による攻撃が発生しています。

キ 頻発するイラク国内の米国権益を狙った攻撃に対し、6月28日、米国は米国民保護を目的として、シリア・イラク国境地帯(シリアのデリゾール地区、イラクのアンバール県カーイム地区)にある武装グループの拠点を空爆し、複数の死傷者が発生しました(なお、米軍は、2月26日にもシリアのデリゾール地区に空爆を実施しています。)。

ク これらの地域への渡航は、いかなる目的であれ止めてください。また、既に同地域に滞在されている方々は、直ちに退避してください。

(2)エルビル県エルビル市とドホーク県ドホーク市間を移動する場合に通過する、ニナワ県のカラク、バーダラシュ、ルビア及びバーダラを経由する幹線道路並びにこれより以北のニナワ平原を通過する幹線道路(ニナワ平原経由幹線道路)、バグダッド国際空港とIZを結ぶ空港道路(ルート・アイリッシュ)並びにIZ
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
(真にやむを得ない事情でこれらの道路を通過、又はIZに渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

ア バグダッド国際空港とIZを結ぶ空港道路(ルート・アイリッシュ)上には、イラク治安当局による検問所が設けられているものの、2020年9月15日には英国大使館の車両、同年9月30日にはEUの車両の後方を走行中の車両が簡易爆弾による攻撃を受けるなど、引き続き警戒が必要です。また、一部政府機関及び外国公館が所在するIZ内は、イラク治安当局による厳重な安全対策により治安は安定していますが、米国大使館近辺にロケット弾が着弾する事案や爆発物を搭載したドローンによる攻撃が発生しております。
なお、現在IZ内の一部幹線道路が一般市民に開放されていますが、デモ隊がIZ内への侵入を試みたり、異常事態が発生したりする場合には予告なしに検問所が設けられ、IZ内に入るためには特別な許可証が必要となる場合があります。

イ 2020年8月26日、武装勢力による爆弾攻撃事案が発生し、エルビル市からモスル市に向けて走行中の国連の車両がニナワ県内で被害を受け、乗車していた職員が負傷しています。

ウ 真にやむを得ない事情でこれらの道路を通過又はIZに渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。具体的には、実際の渡航・滞在に先立って、現地事情に詳しい民間警備会社等の安全・治安対策の専門家と相談を行い、移動には防弾車両の使用を含む必要な身辺警護措置や防護措置を講じ、厳重な警備体制が敷かれている宿泊施設を利用するなどの十分な安全対策をとってください。また、夜間はテロ及び一般犯罪の脅威が高まるため、日没後の移動は厳に避けてください。

(3)エルビル県(エルビル市並びにニナワ県、サラーハッディーン県及びキルクーク県との県境を除く。)並びにスレイマーニーヤ県及びドホーク県のトルコ、イラン又はシリアとの国境付近、
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

ア クルディスタン地域の治安情勢は比較的安定していますが、ISIL分子の活動が引き続き活発であるキルクーク県、サラーハッディーン県、ディヤーラ県、ニナワ県と接しており、特にエルビル県南部やスレイマーニーヤ県内では、ISIL分子の逮捕や隠れ家の摘発が散発的に報じられています。

イ クルディスタン地域とトルコ及びイランとの各国境付近では、隣国の反政府武装組織のイラクでの活動を阻止するとして、度々これら隣国からの越境攻撃を受けています。ドホーク県では、同県に潜伏する反トルコ武装組織PKK(クルディスタン労働党)へのトルコ軍による空爆や地上攻撃が行われ、周辺住民の死傷や建物等への被害も発生しています。特に2020年6月以降は、トルコによる対PKK軍事作戦が更に強化され、これまで以上に軍事衝突が広範囲に及んでおり、2020年8月13日の空爆では、ドホーク市内から十数キロ北東地点を走行するPKK車両が空爆の標的となる事案が発生しています。2021年7月中にドホーク県内で6回、エルビル県内でも1回、トルコ軍による空爆が行われました。

ウ クルディスタン地域では、過去に周辺国から陸路で越境した日本人が相次いで拘束される事案が発生しました。シリアとの国境付近から、多数のシリア難民がクルディスタン地域に流入しており、治安情勢は流動的です。

エ これらの地域への渡航は、いかなる目的であれ止めてください。

(4)中南部・南部7県(カルバラー県、ナジャフ県及びディワーニーヤ県、バスラ県(バスラ国際空港敷地内を除く。)、ムサンナー県、ズィーカール県及びミーサーン県)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない事情で現地に渡航・滞在する場合には、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

ア 中南部・南部諸県では、上述のように、2019年10月初旬から公共サービスや高い失業率の改善、汚職の撲滅等を求める抗議デモが発生し、多数の死傷者が生じています。2020年8月には、複数のデモを率いる活動家が治安当局に殺害される事件が発生し、これに反発した民衆が過激化しました。政府関連施設が放火される事態に発展し、現在もデモが継続しています。

イ バスラ県北部のハルサ地区及びバスラ市内等においては、部族間での衝突が引き続き多発しており、死傷者が発生しています。また、バスラ市においては、犯罪集団による身代金目的の誘拐、強盗、殺人事件が多発しています。

ウ なお、8月28日、クウェート国軍及び内務省は、(バスラ方面から発射されたと思われる)ロケット弾がイラク・クウェート国境地帯に着弾、死傷者はない旨発表しています。

エ やむを得ない事情でこれらの地域に渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。具体的には、実際の渡航・滞在に先立って、現地事情に詳しい民間警備会社等の安全・治安対策の専門家と相談を行い、移動には防弾車両の使用を含む必要な身辺警護措置や防護措置を講じ、厳重な警備体制が敷かれている宿泊施設を利用するなどの十分な安全対策をとってください。また、夜間はテロ及び一般犯罪の脅威が高まるため、日没後の移動は厳に避けてください。

(5)バグダッド国際空港敷地内(バグダッド国際空港敷地内のホテル及びイラク航空国際ビジネスセンターを含む。)並びにバスラ国際空港敷地内
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない理由からこれら施設敷地内に立ち入る、又は滞在する方は、専門家のアドバイスを受け、空港敷地内での滞在期間を必要最小限にするなど、十分な安全対策を取ってください。)

ア バグダッド国際空港敷地内(バグダッド国際空港敷地内のホテル及びイラク航空国際ビジネスセンターを含む。)は、イラク治安当局により厳重な警戒・警備がなされています。具体的には、空港と空港敷地内施設(敷地内にあるホテル及びイラク航空国際ビジネスセンター)の外周はコンクリート壁で隔離され、また、空港敷地内に至る道路には複数の検問所が設置されています。基本的に高いレベルでの安全確保がなされていますが、バグダッド国際空港敷地内の米国関連施設(BDSC)を狙ったロケット弾や爆発物を搭載したドローンによる攻撃が2021年1月から9月末までの間に7件発生しました。

イ バスラ国際空港敷地内も、厳重な警戒・警備がなされています。具体的には、空港敷地の外周はコンクリート壁又はフェンスで隔離され、また、空港敷地内に至る道路に検問所が設置され、事前許可がない一般車両はアクセス出来ないようになっています。基本的に高いレベルでの安全確保がなされていますが、2018年にバスラ市内でのデモが激しくなった際には、空港敷地近くにロケット弾が着弾する事案が発生しています。

ウ やむを得ない理由からこれら施設敷地内に立ち入る、又は滞在する方は、専門家のアドバイスを受け、空港内での滞在期間を必要最小限にするなど、十分な安全対策を取ってください。

(6)エルビル県エルビル市、並びにスレイマーニーヤ県及びドホーク県のうちトルコ、イラン又はシリアとの国境付近並びにニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近を除く地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)

ア クルディスタン地域では、2017年9月に実施されたクルディスタン地域の独立を問う住民投票をめぐるクルディスタン地域政府(KRG)と連邦政府との対立により、治安情勢が不安定化しましたが、その後、諸懸案(国境管理、税関、空港、石油収入、公務員給与や予算配分の問題等)の解決に向けた両者間の協議が断続的に継続しています。両者間協議は依然として完全合意に至っておらず、クルディスタン地域各所では、給与未払い等に対する抗議デモが発生しています。

イ 2021年2月15日、エルビル国際空港付近(米国権益が存在)およびエルビル市内に対し複数のロケット攻撃が発生し、1発が市内中心部に着弾し一般市民2名が負傷しました。また、他の1発が空港付近に着弾しこれにより外国籍者1名死亡、複数名が負傷しました。この事案を含め、2021年1月から9月末までの間にエルビル国際空港の米国権益を狙ったとみられる同様の攻撃は5件発生しています。6月26日にはエルビル中心地から離れた米総領事館の新規建設地区近くにドローンによる攻撃が発生しました。

ウ また、9月5日、エルビル市内で複数のテロ攻撃を計画していたISILの工作員7名がクルディスタン地域治安当局によって逮捕されました。捜査における供述によると、外国人が頻繁に訪れる場所や市内で最も人が集まる城塞付近の市場で、車両爆弾テロを企てていた模様です。このことから、これまで比較的治安が保たれていたエルビルにおいても、外出中は人が集まる場所へは行かないなど、注意が必要です。

エ 2020年10月25日、クルディスタン地域治安当局がPKKにつながる組織により、クルディスタン地域政府(KRG)要人やクルディスタン地域駐在外交官に対する襲撃及び当該外交官の出身国の企業等への攻撃計画を阻止したと発表しました。発表によると、PKKがこれらの計画に関与していたとされています。

オ エルビル市、スレイマーニーヤ市及びドホーク市の都市部では、経済状況の悪化やトルコ軍の軍事作戦に対する抗議デモが断続的に発生しています。治安部隊による取締り等を受け、現在は大規模なデモは沈静化していますが、2020年12月にはスレイマーニーヤ県において、公務員の給与未払いに対するデモ活動が活性化し、治安部隊との衝突により複数の死傷者が出る事案が発生しています。デモが発生している場所等へ近づかないなど、注意が必要です。

カ これらの地域への不要不急の渡航は止めてください。

3 渡航・滞在にあたっての注意
(1)イラクにおいては、邦人がテロや誘拐等の不測の事態に巻き込まれた場合であっても、治安情勢、通信、移動制限の問題等から、在イラク日本国大使館及び在エルビル領事事務所(クルディスタン地域における場合)による邦人保護業務が制約を受けざるを得ない状況にあります。よって、レベル3(渡航中止勧告)及びレベル4(退避勧告)地域への渡航・滞在は止めてください。また、レベル2の地域への不要不急の渡航・滞在は止めてください。

(2)真にやむを得ない理由によりイラクに渡航・滞在する場合には、政府機関、所属団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策並びに新型コロナウイルスの感染症対策をとってください。また、緊急時の連絡のため、短期の滞在であっても必ず在イラク日本国大使館(embjp.ryoji.iraq@bd.mofa.go.jp)(クルディスタン地域に滞在する場合は在エルビル領事事務所(conjp.erbil@bd.mofa.go.jp))に渡航・滞在する方の氏名等人定事項、渡航・滞在日程、宿泊・滞在先、連絡可能な電話番号、Eメールアドレス、警備会社名等を届け出るとともに、現地においては在イラク日本国大使館又は在エルビル領事事務所(クルディスタン地域に滞在の場合)と緊密に連絡をとってください。金曜日、土曜日及び夜間はテロ及び一般犯罪の脅威が高まるため、金曜日、土曜日及び日没後の移動は厳に避けてください。また、常に最新の情報の入手に努めるなど、最大限の注意をしてください。

(3)入国手続は、事前の通告なく変更されることがあります。査証の取得及び入国後の査証種類別の手続に係る最新の情報については、駐日イラク大使館(03-5790-5311)に確認してください。イラク北部のクルディスタン地域においては、同地域政府が発行する独自の査証にて滞在が認められているとの情報もありますが、同査証はイラク政府からの正式なイラク入国査証と認められておらず、同査証をもってクルディスタン地域以外のイラク国内を移動すると不法滞在となりますので、注意してください。

(4)新型コロナウイルスに関し、現在イラク国内の新規感染者数は以前よりは落ち着いた状態を保っていますが、イラク国内の劣悪な医療事情を考慮し、新型コロナウイルス感染予防対策への留意が極めて重要です。

(5)3か月以上滞在する方は、在イラク日本国大使館又は在エルビル領事事務所が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。
3か月未満の渡航の際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時の在イラク日本国大使館又は在エルビル領事事務所からの連絡を受け取ることができるよう、上記3(2)の届けとは別に、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く。)(内線)5139
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版)

(現地公館連絡先)
○在イラク日本国大使館
住所:International Zone, Baghdad, Iraq
電話:(870-722)-582-564(衛星電話)、077-0494-2018(夜間等緊急を要する場合)
国外からは(国番号964)-77-0494-2018(夜間等緊急を要する場合)
FAX:(870-782)-502-564(衛星電話)
ホームページ:https://www.iraq.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
メールアドレス:embjp.ryoji.iraq@bd.mofa.go.jp

○在エルビル領事事務所
住所:Erbil Rotana Hotel, 8F, Gulan Street, Erbil, Kurdistan, Iraq
電話:+964-(0)66-210-5555(内線819、827)
電話(緊急を要する場合):+964-(0)750-080-4116、 +964-(0)751-740-6716、 +964-(0)751-740-6711
ホームページ:https://www.iraq.emb-japan.go.jp/itpr_ja/erbil.html
メールアドレス:conjp.erbil@bd.mofa.go.jp

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