海外

2026.10.31

【IATA 2026年世界旅客調査】から読み解く、テクノロジーで変わる空の旅のこれから

2026年11月から消費税免税制度が変更

IATA(国際航空運送協会)が2026年10月28日に発表した「2026年世界旅客調査(IATA's 2026 Global Passenger Survey)」の結果について解説します。

生体認証やAIの活用が広がる一方で、ビザや入国手続きの複雑さが旅行の障壁として拡大している実態、200以上の国・地域、1万人超の回答から見えた旅客の変化を、地域別のデータとあわせてご紹介します。

【 IATA 2026年グローバル調査 】「技術革新」と「入国手続きの壁」について


IATA「2026年世界旅客調査」の概要

IATA(国際航空運送協会)は2026年10月28日、「2026年世界旅客調査(GPS)」の結果を発表しました。
この調査は、200以上の国・地域から寄せられた1万件超の回答をもとに、空の旅に対する旅客の行動や期待をまとめたものです。

今回の調査では、以下の3つの大きな傾向が示されました。

近年の航空旅行に対する旅客の傾向
  • 空港で生体認証を利用した旅客は58%(2025年は50%)、利用者の満足度は87%
  • 旅行計画にAIを利用した旅客は49%と、ほぼ2人に1人
  • ビザや入国手続きなどの入国要件が、旅行の障壁として拡大している

IATAのニック・カリーン上級副社長(運航・安全・保安担当)は、旅客がテクノロジーを積極的に取り入れる一方で、複雑な入国・ビザ手続きが依然として障壁になっていると指摘しました。そのうえで各国政府に対し、入国要件の簡素化、重複する確認の廃止、安全なデジタル旅行資格(Digital Travel Credentials)の発行・受け入れの加速を求めています。

国際航空運送協会(IATA)|IATA's 2026 Global Passenger Survey: Travelers Embrace Biometrics and AI but Entry Requirements Remain a Barrier


生体認証利用は58%に拡大、デジタルパスポートにも高い関心

過去12か月間に空港で生体認証を利用した旅客は58%となり、2025年の50%から8ポイント、2022年からは24ポイント増えました。利用した人の87%(前年86%)が満足しており、満足度は過去最高の水準です。

生体認証(バイオメトリクス)とは、顔や指紋など身体の特徴を使って本人確認を行う技術で、空港では顔認証による搭乗手続や自動化ゲートなどで使われていますが、手続きを簡単にするためなら、生体情報を提供してもよいと考える旅客も多数派となっています。

  • 全回答者の78%が、空港の各チェックポイントでパスポートや搭乗券の提示を省けるなら、生体情報を提供してもよいと回答
  • そのうち75%は、事前に一度登録すれば空港内の手続きで自動的に本人確認される方式を希望

また、デジタルパスポートにも高い関心が示されました。

デジタルパスポート(DTC)とは

IATAが普及を求めるデジタルパスポートは「Digital Travel Credentials(DTC)」と呼ばれ、ICAO(国際民間航空機関)が国際標準づくりを進めています。DTCは、パスポートの情報をスマートフォンなどに格納して提示できるようにするもので、ICパスポートと同等以上の安全性が求められています。

DTCは、パスポートを発行する各国の政府機関が発行するものとされています。
そのため、IATAは各国政府に対し、DTCの発行と受け入れに関する共通の枠組みに合意するよう求めています。

国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)|HIGH‐LEVEL GUIDANCE:  EXPLAINING THE ICAO DIGITAL TRAVEL CREDENTIALS

生体認証に対する旅客の懸念

生体認証の普及には、旅客の信頼が欠かせませんが、懸念として最も多かったのは「データ漏えい」(59%)で、「他の組織への情報共有」(49%)、「個人情報の取り扱いが不透明」(41%)が続きました。

空港の生体認証には、成田空港・羽田空港での一部の航空会社ご利用時に使用できる「Face Express」のように利用するかどうかを選べるサービスと、国によって入国審査時の登録が義務となる制度があります。渡航先でどちらにあたるかを、事前に確認しておくと安心です。

羽田空港(HND)|Face Express ご利用案内

成田国際空港(NRT)|Face Express(顔認証による新しい手続き)


旅行者の約半数がAIで旅行を計画

旅行計画にAIを利用したことがある旅客は全回答者の49%と、ほぼ2人に1人に達しました。
なお、主な利用目的は次のとおりです。

  • 特定の目的地へのフライト検索:21%(最多)
  • 最安値のフライト探し:19%
  • 旅行先のアイデア探し:17%

地域による差も大きく、中東では72%がAIを利用している一方、ヨーロッパでは35%にとどまりました。

IATAは、航空会社にとって自社の商品がAI上で表示されるようにするだけでなく、AIとの会話から実際の予約へスムーズにつなげる仕組みづくりが重要になると指摘しています。

AIを旅行の下調べに使う場合、ビザの要否や入国条件等については必ず公式情報でご確認ください
入国要件は予告なく変更となることがあり、AIの回答が最新の制度を反映しているとは限りません
(渡航先のビザ要否等は、弊社ウェブサイトの渡航情報でもご確認いただけます)


入国要件を理由に渡航を断念した人は43%に増加

テクノロジーの活用が進む一方で、入国要件を理由に渡航先への旅行を断念したことがある旅客は全回答者の43%に上り、2025年の33%から10ポイント増えました。

入国要件を理由に断念した人のうち、53%が「手続きが複雑すぎる」ことを挙げており、「プライバシーへの懸念」(17%)や「費用」(17%)を大きく上回りました。

なお、地政学的な紛争を理由に特定の渡航先を避けた人では、72%が「安全面」を主な理由に挙げ、13%は「渡航できるかどうか分からない」ことを理由としています。

旅客が求めるビザ・入国手続きのデジタル化

IATAによると、eビザ(電子ビザ)を発行している国は100か国を超えますが、その確認方法には統一性がほとんどありません。
航空会社が効率よく確認できるよう、各国政府が共通基準を採用すべきだとしています。

※ eビザ(電子ビザ)とは、大使館・領事館に出向かずにオンラインで申請・取得できるビザです。
※ ビザが免除されている国でも、渡航前にオンラインで「電子渡航認証(ETA)」の取得が必要な国が増えています。
  日本国籍の方の場合、米国のESTAや英国のETAがその代表例です。


地域別の特徴とギャップ

総合満足度はアジア太平洋と中東が90%で最も高く、ヨーロッパが84%で最も低い結果となりました。

デジタル技術への積極性では中東が際立ち、ヨーロッパは最も慎重です。
日本が含まれるアジア太平洋では、入国要件を理由に渡航を断念した割合が49%と、世界平均の43%を上回りました。


今回行われた調査のまとめ

IATAの2026年調査では、生体認証(58%)やAI(49%)の活用が広がり、空の旅が便利になりつつあることが浮き彫りになりました。その一方で、入国要件を理由に渡航をあきらめた旅客は43%に増え、テクノロジーの進歩と入国手続きの負担との間に「ギャップ」が生じています。

入国手続きのデジタル化は進んでいるものの、申請方法や必要書類は国ごとに異なります。
海外へ渡航される際は、ビザや電子渡航認証の要否を早めに公式情報でご確認ください。

弊社では、法人・官公庁のお客様の海外出張に関するビザ申請や航空券・ホテルの手配を承っています。
また、渡航先のビザ要否等の渡航情報は弊社ウェブサイトからご確認いただけます。


免責事項および注意喚起
本記事に記載の情報は、記載時点(2026年10月30日)におけるIATAの発表および公開情報に基づいています。調査結果の詳細や各国の入国制度は、今後変更される場合があります。

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