海外

2026.03.12

日本|電子渡航認証「JESTA」導入と在留手数料の大幅引き上げへ

2026年3月10日、日本政府は出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正案を閣議決定しました。
この改正案には、米国のESTA(電子渡航認証システム)を参考にした 電子渡航認証制度「JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)」の導入と、在留資格の変更・更新・永住許可に係る手数料の法定上限額の大幅な引き上げが盛り込まれています。法案は衆議院に提出され、今国会での成立を目指しています。

出入国在留管理庁(ISA)|第221回国会(特別会)提出法案

出入国在留管理庁(ISA)|法案概要(PDF)

ここがポイント
  • JESTA(電子渡航認証制度)の導入:ビザ免除で日本を訪れる外国人旅行者に対し、渡航前にオンラインで事前認証を義務化。認証なしでは航空機への搭乗が不可に。2028年度中の運用開始を目指す。
  • 対象者:ビザ免除対象の74カ国・地域からの短期滞在者(観光・商用等)、クルーズ船旅客(指定旅客船に乗船し、観光目的で日本に上陸を希望する外国人)、乗り継ぎで一時入国する外国人の一部。
  • 在留手数料の上限引き上げ:在留資格の変更許可・更新許可の上限を現行1万円から10万円へ、永住許可は30万円へ。約40年ぶりの改定で、2027年3月31日までに施行予定
  • 旅行業界への影響:航空会社・船会社には予約者情報の報告義務と、入国不適当者の搭乗拒否義務が課される。

改正案の全体像

項目 内容
閣議決定日 2026年3月10日
法案名 出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案
所管官庁 出入国在留管理庁
主な改正内容 ① JESTA(電子渡航認証)の創設
② 在留許可手数料の上限額引き上げ

1. JESTA(電子渡航認証制度)とは

JESTAは、ビザ免除対象国からの短期滞在旅行者に対し、渡航前にオンラインで個人情報・渡航目的・宿泊先などを申告させ、入国の可否を事前に審査する制度です。米国のESTA、英国のETA、今後導入予定のEU・ETIAS(欧州渡航情報認証制度)と同様の仕組みで、新規入国のたびに審査されます。

出入国在留管理庁が公表した資料によれば、2025年(令和7年)の外国人新規入国者数は過去最高の約3,918万人に達し、そのうち観光等を目的とする短期滞在者は約3,846万人でした。さらにその約8割がビザ免除対象者であり、現行制度では出国前の審査を受けずに入国が可能となっています。

現行制度では、上陸審査で不法在留を企図する渡航者の入国を拒否しても、一度入国した後に不法在留が発生した場合の退去には多大な労力とコストが必要です。また、入国者数の増加により上陸審査の待ち時間が長時間化する傾向も課題となっています。JESTAの導入により、入国前のスクリーニングで問題のある渡航者を事前に排除するとともに、認証済み旅行者の入国手続きを迅速化することを目指しています。

対象者とJESTAの仕組み(改正後の入国フロー)
 
 
STEP 1
事前認証の申請
外国人旅行者
渡航前にオンラインで個人情報・渡航目的等を提供し、出入国在留管理庁長官の認証を受ける
STEP 2
予約者情報の報告
航空会社・船会社
乗船券・航空券の発行時に、予約者の氏名等を出入国在留管理庁長官に報告
STEP 3
入国可否の通知
入管庁長官
「入国が相当であるか」を運送業者に通知。不適当な場合は搭乗拒否
STEP 4
搭乗・チケット発行
航空会社・船会社
「相当」の通知を受けた外国人のみにチケットを発行し、搭乗・乗船を許可
STEP 5
上陸審査(簡素化)
入国審査官
認証済みの旅行者は旅券への証印を省略。ウォークスルー型ゲートで手続きを迅速化
要申請対象者 対象の詳細
ビザ免除短期滞在者 74カ国・地域からの観光・商用等を目的とする短期滞在者
クルーズ船旅客 指定旅客船に乗船し、観光目的で日本に上陸を希望する外国人
乗り継ぎ旅客 船舶等の乗り継ぎのため一時的に日本に入国する外国人の一部
運送業者(航空会社・船会社)への義務

航空会社および船会社には新たに予約者情報の事前報告義務が課されます。

・報告義務:乗船・航空券を発行する際、所定の期限までに出入国在留管理庁長官に予約者氏名等を報告しなければならない
・運送禁止義務:入国が相当でない旨の通知を受けた場合、その者を船舶・航空機に乗せて日本に入国させてはならない
・罰則:義務違反には過料の制裁が科される

手数料

JESTAの認証を受けようとするとき、および認証を受けるときには、政令で定める額の手数料が徴収されます。
具体的な金額は現時点では未定です。

2. 在留許可手数料の大幅引き上げ

改正案のもう一つの柱が、在留資格に関する手数料の法定上限額の引き上げです。
現行の上限額は1981年以来約40年間据え置かれており、今回が初めての改定となります。具体的な手数料額は引き続き政令で定められ、在留期間や手続きの種類に応じて設定されます。

なお、上限額の引き上げがそのまま実際の手数料額を意味するものではありません。

手続の種類 現行の上限額 現行の実際の手数料 改正後の上限額
在留資格の変更許可 1万円 6,000円(窓口) 10万円
在留期間の更新許可 1万円 6,000円(窓口) 10万円
永住許可 1万円 1万円 30万円
手数料額の算定に勘案される要素

・実費
・外国人の出入国及び在留の公正な管理に要する費用の額
・外国人の適正な在留確保に関する事務費用
・在留外国人が安定的・円滑に在留するための支援に関する費用
・諸外国における同種の手数料の額

減額・免除措置

経済的困難その他特別の理由がある者については、手数料を減額または免除できる旨の規定が設けられます。
ただし、永住許可の減額・免除の対象は、日本人、永住者または特別永住者の配偶者もしくは子等に限定されます。

3. 施行までのタイムラインと旅行者等への影響

2026年3月10日:入管法改正案を閣議決定、衆議院に提出
2026年国会会期中:国会での審議・採決(今国会での成立を目指す)
2027年3月31日まで:在留許可手数料に関する改正規定の施行(政令で定める日)
2028年度中(目標):JESTAシステムの運用開始準備
2029年3月31日まで:JESTAに関する改正規定の施行期限(政令で定める日)
訪日旅行者への影響

JESTA導入後は、査証免除対象国から日本を訪れる旅行者は、渡航前にオンラインでの事前認証取得が必須となります。
認証を受けていない場合、航空券の発行やチェックインの段階で搭乗を拒否される可能性があります。一方で、認証済みの旅行者については、到着時の上陸審査手続きが簡素化され、ウォークスルー型ゲートの活用により待ち時間の短縮が期待されます。

在留外国人への影響

在留手数料の上限額引き上げにより、実際に適用される手数料の水準が今後の政令でどのように設定されるかが注目されます。特に永住許可の上限が現行の30倍となる30万円に引き上げられる点は、日本に長期在留する外国人にとって大きな関心事となっています。


免責事項および注意喚起
本記事は2026年3月12日時点で公表されている情報に基づいて作成しています。
法案は国会審議中であり、内容が修正・変更される可能性があります。

・JESTAの具体的な手数料額、申請方法、運用開始日等の詳細は、今後政令等で定められます。
 最新情報は出入国在留管理庁の公式サイト(https://www.moj.go.jp/isa/)でご確認ください。
・在留手数料の実際の改定額は政令で定められるため、上限額がそのまま適用されるとは限りません。
・法案が成立しない場合や、施行が延期される可能性もあります。
・本記事の情報に基づいて行動されたことによるいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。具体的な手続きについては、各関係機関の公式窓口にお問い合わせください。

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