2025.06.04
イラン|イード・アル・アドハー(犠牲祭)やアーシューラー期間中のクリミア・コンゴ出血熱およびエキノコックスへの感染リスクに関する注意喚起
2025年6月6日のイード・アル・アドハー(犠牲祭)や7月6日のアーシューラーでは、市中では政府の定める正規の手順以外の方法で家畜が屠殺され、その肉が地域住民や旅行者に振る舞われることがありますが、「クリミア・コンゴ出血熱」や「エキノコックス」という感染症に感染してしまうリスクがあるため、避けた方が安全です。
イラン保健省等も国民に対して、正規の食肉工場で処理がなされていない肉を入手したり食べないよう注意喚起をしています。
「クリミア・コンゴ出血熱」は、マダニが媒介する人畜共通感染症です。
感染した家畜の生肉に触れたり生焼けの肉を食べる以外に、家畜に触れたり草むらに入った際に付着したダニに血を吸われることでも感染する可能性があります。潜伏期間は2日から9日で、主な症状は、発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、関節痛です。重症化すると全身の出血がみられます。初夏から秋にかけてイラン各地で発生し、年間患者数は数十例程度と多くはありませんが、感染してしまうと有効な治療薬は無く、死亡率は15%から40%と高率の病気です。シスタン・バルチスタン州、フーゼスタン州、ブシェール州、ケルマーン州、テヘラン州などで感染リスクが高いとされます。
「エキノコックス」は、牛や羊の内臓、犬の糞、土壌などを媒介して経口感染する寄生虫です。
イラン各地で発生が報告されています。多くはヒトの肺や肝臓に寄生して小嚢胞を形成しますが、症状が現れるまでに何年もの潜伏期間があります。肝臓への寄生では腹痛、悪心、嘔吐がみられ、肺では慢性的な咳嗽、胸痛、息切れがみられます。症状が現れる頃には病状が進行し、手術が必要になることもあります。
上記2疾患の共通の感染予防策としては、正規の食肉工場を経ていない生肉に触れたり、生焼けの肉を食べないことが重要です。その他、「クリミア・コンゴ出血熱」に対しては、ダニの生息する森林地帯や草むらに入ることは避け、そうした地区へ入る際にはダニに噛まれないように、長袖・長ズボン、昆虫忌避剤(虫除けスプレーなど)を使用することも重要です。もしそれでもダニに噛まれてしまった場合は、無理に指でつまんではずそうとすると、かえってダニ体内のウイルスが人体内に大量に注入される恐れがあるため、病院で専用の器具を用いて外してもらうようにしてください。「エキノコックス」に対しては、土を触った後は良く手を洗い、土のついた野菜も良く洗ってから調理することも重要です。
これらの病気に感染した可能性がある場合は、すぐに医療機関に相談して下さい。
<参照ホームページ>
「クリミア・コンゴ出血熱」および「エキノコックス」に関する情報は下記のホームページをご参照下さい。
1.厚労省検疫所
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/name38.html
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/name26.html
2.国立感染症研究所感染症情報センター
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/hemorrhagic-fever/060/cchf-intro.html
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/echinococcus/010/echinococcus-intro.html
【問い合わせ先】
連絡先:在イラン日本国大使館領事班
電話:+98-21-22660710(代表)
FAX :+98-21-22660746
e-mail: consular@th.mofa.go.jp
HP: http://www.ir.emb-japan.go.jp/jp/index.html