2026.09.10
ネパール・中国|ラスワ郡等の国境地帯での大規模洪水に関する注意喚起(9/10更新)

2026年8月26日にネパール北部ラスワ郡で発生した大規模洪水・土石流は、発生から2週間を経てネパール国内の死者1,369人、行方不明者5,132人(9月9日時点)となりました。中国チベット自治区側では死者43人、行方不明519人が確認されています。
カトマンズとポカラ・チトワン方面を結ぶプリトビ・ハイウェイのクリシュナビール区間が8月30日から通行止めのままで、警察は復旧に少なくとも1か月を要するとの見方を示しています。一方、トリブバン国際空港と国内線は通常運航を維持しており、エベレスト、アンナプルナ、マナスル方面のトレッキングは秋シーズンの催行が可能とされています。
ネパールへ渡航予定の方は、交通機関等の運航状況・現地の治安等についての最新情報を逐次ご確認ください。
外務省(MOFA)|ネパール中部ラスワ郡及び中国チベット自治区シガツェ市で発生した水害について(外務大臣メッセージ)
- プリトビ・ハイウェイのクリシュナビール区間は通行止めが継続中です。山側に掘削された迂回路は工事用の資材運搬路であり、一般車両向けではないため、開通時期は依然として不透明です
- ラスワガディ〜ティムレ〜シャブルベシ地域には米国当局は「渡航中止(レベル4相当)」を指定しています。ランタン、ゴサインクンダ、タマン・ヘリテージの各ルートは催行停止です
- エベレスト、アンナプルナ、マナスル、カンチェンジュンガ、ダウラギリ、ドルポ、アッパー・ムスタンの各地域は秋シーズンの催行が可能とされ、アンナプルナ方面では観光客数が回復傾向にあります

カトマンズへ渡航・滞在される方への注意喚起
プリトビ・ハイウェイのクリシュナビール区間(ダディン郡)は、8月30日にトリシュリ川の浸食により約200mにわたって路盤が沈下・崩落し、現在も通行止めが続いております。
同区間はムグリン分岐点より手前に位置するため、カトマンズからポカラ、チトワン、ルンビニ、アンナプルナ方面へ向かう陸路が1か所で遮断された状態です。当面はナラヤンガート〜ヘタウダ経由など複数の迂回路が使用されていますが、数時間の所要時間増が生じております。
カトマンズ〜ポカラ間は国内線で約25分ですので、国際線への乗り継ぎがある場合は特に、航空便のご利用をご検討くださいませ。
ネパール物理インフラ・交通省道路局(Department of Road)|Dashboard
在ネパール米国大使館(U.S. Embassy in Nepal)|Rasuwa Flooding and Major Road Closures
| 区分 | 対象 | 9月10日9時時点で確認されている影響 |
|---|---|---|
| 航空 (定期便) |
トリブバン国際空港 (カトマンズ) |
国内線・国際線とも通常運航としています カトマンズ〜ポカラ、カトマンズ〜バラトプル(チトワン)、ルクラ便も運航中です |
| 道路 | プリトビ・ハイウェイ (クリシュナビール区間) |
全面通行止め 本線より約20m上の斜面に幅約4m・延長350mの作業用トラックが開通しましたが、施工業者は「資材・燃料の運搬と作業員の移動に使用するもので、一般向けに開放した道路ではない」としています ・緊急時に徒歩での通行が可能な状態です ・一般車両の通行開始時期は未定です |
| プリトビ・ハイウェイ (パレワビール(マクワンプル郡)) |
新たな迂回路約70mが開通しています | |
| プリトビ・ハイウェイ (パトレバン(ナグドゥンガ付近)) |
路盤沈下の問題はおおむね解消されたとされています | |
| ベトラワティ〜ドゥンチェ区間 | 小型車に限り限定的な通行が可能とされています ただし救助・行政関係の車両が優先され、観光目的の通行は認められていません |
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| ドゥンチェ以北 (シャブルベシ、ティムレ、ラスワガディ) |
不通 ベトラワティ〜ラスワガディ間の約42km全区間が損壊し、シャブルベシから中国国境方面の約16km区間も流失しています。再開時期は未定です |
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| ナラヤンガート〜ヘタウダ〜カトマンズ | 使用中ですが道幅が狭く不安定なため、大型貨物車・ガスタンクローリー等は通行できず、カトマンズでは物資不足が生じています | |
| 国境 | ラスワガディ (中国・吉隆口岸) |
通行不可(再開時期は未定) カイラス山・マナサロワル湖への陸路巡礼および越境交易は、2026年シーズン中は停止される見通しです |
| 鉄道 | ジャナクプル〜ジャイナガル線等 | 被災地から離れており、影響は報じられていません |
米国がラスワ郡の一部を最高警戒レベルに指定
在ネパール米国大使館は、ラスワガディ〜ティムレ〜シャブルベシ地域(ネパール・中国国境検問所を含む)について、洪水被害、交通・通信の途絶、捜索救助活動の継続、追加の洪水・地滑りリスクを理由に、いかなる理由であっても渡航しないよう、自国民向けに最高警戒レベル(レベル4「渡航中止」相当)を発出しております。
※ ネパール全土に対する警戒レベルは従来どおりレベル2(注意強化)に据え置かれています
※ 日本の外務省については、9月7日時点でラスワ郡を含むネパールの危険情報レベルの変更は確認できておりません。
渡航前には外務省海外安全ホームページで最新の情報をご確認いただき、たびレジへのご登録もあわせてご検討くださいませ
在根パール米国大使館(U.S. Embassy in Nepal)|Travel Advisory: Nepal August 2026
TRAVEL ADVISORY - NEPAL
— U.S. Embassy Nepal (@USEmbassyNepal) September 5, 2026
Level 2 - Exercise increased caution
Also includes areas at level 4
Date issued: September 04, 2026
NATURAL DISASTER ( N )
Exercise increased caution in Nepal due to natural disasters. Some areas have increased risk. Read the entire Travel Advisory.… pic.twitter.com/yRaxPOW709
秋のトレッキングシーズンへの影響
ネパールの秋のトレッキングシーズンは10〜11月がピークとなりますが、エベレスト(クンブ)、アンナプルナ、マナスル、カンチェンジュンガ、ダウラギリ、ドルポ、アッパー・ムスタンの各地域は被災範囲外であり、2026年秋シーズンの催行が可能とされています。アンナプルナ地域では、ラムジュン郡ダラパニの入域地点で1月1日から9月6日までに2万917人が通過しており、モンスーン明けとともに観光客数が回復傾向にあります。
一方、ランタン渓谷、ゴサインクンダ、タマン・ヘリテージ・トレイルの3ルートは催行停止となっております。
(起点となるシャブルベシが市街地ごと甚大な被害を受け、アクセス道路も不通のため)
アンナプルナ方面をご予定の方につきましては、起点となるポカラへの陸路が前述のとおり不確実なため、航空便のご利用をお勧めいたします。なお、ポカラには9月23日から初の定期国際線が就航する予定です。また、報道等によるとラスワガディ経由のカイラス山・マナサロワル湖巡礼については、国境施設と道路の被災規模から2026年シーズン中の再開は困難とされておりますので、該当ルートのツアーを予約されている方は、催行会社に催行可否と代替手段をご確認くださいませ。
日本政府の対応について
日本政府は現地対策本部と外務省対策室を設置し、海外緊急展開チーム(ERT)要員2人を派遣、8月28日には緊急援助物資(テント、毛布等)の供与を決定しました。さらに高市首相はシャハ・ネパール首相と電話協議を行い、日本人5人の捜索について協力を要請しています。
また外務省は、ネパール在留の長期滞在者および届出のあった短期滞在者の所在確認も進めており、半数超から無事との返信があったとされています。
洪水の原因と国際的な議論
洪水の原因は、チベット側のレンデ川上流で発生した氷河と岩盤の大規模崩落です。
発生直後にマグニチュード4.4の地震が観測されたと報じられましたが、米地質調査所(USGS)はその後、地震ではなく崩落そのものがマグニチュード5.2相当の地震波として記録されたものと訂正しています。崩落した土砂が川を一時的にせき止めた後に決壊し、鉄砲水となって流下したとしており、米プラネタリー・サイエンス研究所の研究者は、洪水の先端が最初の22kmを平均時速193kmで流下したと分析しています。
ネパールのシャハ首相は9月1日、今回の災害を「ヒマラヤ地域で最大級の災害の一つ」と位置づけ、気候変動の影響で大量の氷河が崩落して発生した可能性があるとして、対応は「地球規模の責任だ」と主張しました。同地域では2025年7月にも氷河湖決壊による洪水でミテリ橋が流失し、国境が約6か月閉鎖されており、14か月のうちに2度目の大規模災害となります。なお、災害に先立って警告の兆候が見られたとする報告も出ており、今後の検証が待たれる状況です。

免責事項および注意喚起
本記事に記載の情報は、記載時点(2026年9月10日9時/日本時間)における公開情報に基づいています。本件は現在も捜索・救助活動が継続中の進行形の災害であり、道路や国境の通行可否、交通機関の運行状況は今後短時間で変動する可能性があります。
- 渡航前および現地移動の前に、外務省海外安全ホームページ、在ネパール日本国大使館、ネパール国家災害リスク削減管理庁(NDRRMA)、ネパール道路局、ネパール観光局等の最新情報を必ずご確認ください。
- 死者数・行方不明者数は発表機関および発表時点により異なります。本記事の数値は確定値ではなく、身元確認の進捗に伴い今後も増減する可能性があります。
- ツアーやトレッキングのキャンセル・変更に伴う補償条件については、ご契約の旅行会社、催行会社、および海外旅行保険の引受保険会社に直接ご確認ください。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、記事内容に基づいて生じた旅行上の損害・不利益、交通機関の遅延・運休、行程変更等について、当サイトは一切の責任を負いません。

