2026.08.14
スペイン-イタリア間で相互国境管理を実施

アフリカ北端にあるスペイン領の飛び地セウタに、モロッコ側から数万人規模の移民が押し寄せた問題を機に、スペインとイタリアの間で相互の入国審査が導入されています。
イタリアは2026年8月1日から、スペインは同8日から、それぞれ相手国から到着する航空便・船舶の旅客を対象にパスポートやビザの確認を実施しています。対象は主に非EU(第三国)籍の渡航予定の方ですが、スペイン側の措置についてはイタリア国籍者も確認対象に含まれるとの報道があり、両国の対応には違いも見られます。
イタリア・スペイン間を航空便や船舶で渡航予定の方は、搭乗手続きや入国審査に通常より時間がかかる可能性があるため、余裕を持ったスケジュールでご移動くださいませ。
イタリア内務省(Ministero dell'Interno)シェンゲン議会委員会でのピアンテドージ内相答弁
スペイン官報(Boletín Oficial del Estado)|Orden INT/846/2026(イタリアからの空路・海路交通に関しての国境管理の一時的再開について)
- イタリアは8月1日から、スペインは8月8日から、互いの国から到着する渡航者に対する出入国審査をそれぞれ再導入
- 審査の対象は主に航空便・船舶を利用する第三国籍の渡航予定の方ですが、スペイン側の措置はイタリア国籍者も確認対象に含むとの報道があり、両国の運用には差異があります
- 8月15日前後、モロッコからセウタ・メリリャへ新たに越境しようとする動きがSNS上で呼びかけられており、現地では警戒レベルが引き上げられています

相互審査の詳細と渡航予定の方への注意点
今回の措置は、EUの「シェンゲン国境規則」(EU規則2016/399)に基づく一時的な域内国境管理の再導入として行われています。
イタリア側の審査は、フィウミチーノ(ローマ)、マルペンサ・リナーテ(ミラノ)の各空港や国内の主要港で、スペインから到着する第三国籍者を対象に無作為・選択的に実施されており、スペイン国民およびEU加盟国籍者の渡航には影響がないとされています。
一方スペイン側は、マドリード、バルセロナ、セビリア、ビルバオなど国内の空港・港で、イタリアから到着する渡航者のパスポート、国籍、ビザを確認しています。イタリア国籍者への適用有無については流動的となっていることから、渡航前に各国政府の最新情報を確認することもお勧めいたします。
| 項目 | イタリアによる審査 (スペイン発→イタリア着の渡航者向け) |
スペインによる審査 (イタリア発→スペイン着の渡航者向け) |
|---|---|---|
| 対象となる 渡航予定の方 |
スペインから到着する第三国(非EU)籍の渡航者 スペイン国民・EU加盟国籍者は対象外 |
イタリアから到着する渡航者 第三国籍者に加え、イタリア国籍者も確認対象に含むとする報道あり |
| 実施期間 | 2026年8月1日0時〜 (内務省がEU欧州委員会に通知した期間は9月1日まで。内相は8月15日以降に解除の是非を判断する方針を表明) |
2026年8月8日0時〜9月7日24時 (スペイン官報BOE掲載の内務省命令INT/846/2026に基づく30日間。状況変化により変更の可能性あり) |
| 対象となる 主な空港・港 |
ローマ・フィウミチーノ空港 ミラノ・マルペンサ空港 ミラノ・リナーテ空港 および イタリア国内の主要港 |
マドリード バルセロナ セビリア ビルバオ ほかスペイン国内の空港・港 |
| 確認方法 | 搭乗口等での無作為・選択的な書類確認 (シェンゲン圏内移動に必要な書類の有無を確認) |
パスポート、国籍、ビザの確認 |
| これまでの 実施状況 |
8月13日時点で、審査再開後の逮捕3件、第三国籍者21人(うちモロッコ籍6人)の入国拒否と内相が説明 | 8月13日時点で、イタリアから到着した273便・第三国籍の渡航者計3,115人を確認したと内務省が発表 |
セウタ・メリリャにおける新たな越境の動きへの警戒(8月14日〜15日)
スペイン内務省は、8月15日前後にモロッコから北アフリカの飛び地セウタおよびメリリャへ新たに集団で越境しようとする動きがSNS上で呼びかけられていることを受け、警察部隊の増員など警戒態勢を強化しています。国家憲兵隊(グアルディア・シビル)は国境周辺の監視を強めるとともに、モロッコ在住者向けにフランス語で「不法に越境しても送還される」とする注意喚起を発信しています。
スペインでは対テロ警戒レベルが引き上げられた状態が続いており、当局は今回の呼びかけについて信頼性が一定程度あるとみて対応していますが、前回(7月30日)と同規模の越境が実際に発生するかどうかは予断できないとしていますので、セウタ・メリリャ周辺への渡航を予定されている方、または今後の予定がある方は、現地の状況が流動的であることを踏まえ、外務省の海外安全情報や現地報道の最新情報を随時ご確認ください。
セウタへの大量移民流入に関する注意喚起(2026.7.31付記事)
対立の背景:セウタへの移民流入とシェンゲン協定を巡る攻防
2026年7月30日から31日にかけて、モロッコからスペイン領セウタへ多数の移民が越境を試みました。
越境した人の大半はその後48時間以内にモロッコへ送還されたとされていますが、未成年者を中心に一部がセウタに残り、人道面での対応も課題となっています。
この事態を受け、イタリアのメローニ政権は「域内の安全確保」を理由にスペインとの間でシェンゲン協定に基づく自由移動を一時停止すると発表しました。これに対しスペインのサンチェス政権は、セウタはシェンゲン圏の扱いが特殊であり越境者がそのまま欧州本土に移動することはできないと主張し、イタリアの措置を「不当」と批判、審査の撤回を要求しましたが、両国の協議は折り合わず、スペインも対抗措置としてイタリアからの渡航者への審査を導入しました。
欧州委員会は、両国から域内国境管理再導入の通知を受けたとした上で、いずれも「一時的な措置」であると説明しています。
免責事項および注意喚起
本記事に記載の情報は、記載時点(2026年8月14日)における公開情報に基づいています。スペイン・イタリア両国による国境審査の運用状況や実施期間、セウタ・メリリャ周辺の警戒状況は今後変更される可能性があります。
- 渡航前に必ずスペイン内務省、イタリア内務省、および欧州委員会(シェンゲン関連情報)の公式サイトで最新情報をご確認ください。
- 審査の対象者・実施期間は、外交上の協議の進展や現地の移民情勢により、予告なく変更・前倒しでの終了となる場合があります。実際の手続きは、渡航日・利用空港や港によって異なる場合があります。
- セウタ・メリリャに関する新たな越境の動きは、記載時点でSNS上の呼びかけに基づく情報であり、実際に発生するかどうかを含め不確実な要素を含みます。最新の安全情報は外務省海外安全ホームページ(anzen.mofa.go.jp)等でご確認ください。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、記事内容に基づいて生じた旅行上の損害・不利益、入国審査による遅延や入国拒否等について、当サイトは一切の責任を負いません。

