2026.07.08
EU|EES(出入域システム)の生体情報登録を今夏に限り一時停止可能に

欧州委員会は2026年7月3日付の書簡で、EU域外国籍の渡航者を対象とする新入国管理システム「EES(出入域システム)」について、今年の夏季ピーク期に限り、各国境管理当局の判断で指紋や顔写真などの生体情報登録を一時的に停止できるとの方針を改めて示しました。
今年4月の全面稼働以降、一部空港では入国審査に最大5時間程度を要する事例が報告されており、これが夏季の欧州渡航における空港混雑の一因となっていますので、日本から欧州(シェンゲン協定加盟国)へ渡航予定の方は、特に乗り継ぎ便をご利用の場合、余裕を持ってご移動くださいませ。
また、渡航予定の空港等によって対応が異なりますので、出発前に各空港・航空会社の公式サイトで最新情報をご確認いただくことをお勧めいたします。
国際航空運送協会(IATA)|Travel trouble ahead if EU fails to address EES issues
- EESは2026年4月10日に全面稼働しましたが、規則上、完全稼働後90日間(最大60日間延長可、2026年9月上旬まで)は加盟国の判断で運用を部分的に緩和できる仕組みが元々設けられています
- 欧州委員会のマグヌス・ブルンナー移民担当委員は、混雑への対応として、各国が生体情報(指紋・顔写真)の登録を一時的に停止し、パスポート確認のみに簡素化する対応を認める考えを示しました
- ただしEESの全面停止は認められておらず、対応の判断は加盟国・空港ごとに異なるため、渡航先・時期によって入国審査の所要時間が変動する可能性があります
今回の緩和措置の詳細
今回の方針表明は、欧州の空港運営団体(ACI EUROPE)、航空会社団体(Airlines for Europe:A4E)および国際航空運送協会(IATA)が2026年7月1日に連名でフォンデアライエン欧州委員会委員長宛てに送付した書簡を受けたものです。
同書簡では、7月・8月のピーク期に限りEES運用を予防的に全面停止できる権限を加盟国に付与するよう要請していました。
これに対しブルンナー委員は7月3日付の返信書簡で、EESの規則には元々夏季ピーク期向けの柔軟措置が組み込まれているとした上で、生体情報登録の一時停止は認めるものの、全面停止までは「必要でも可能でもない」との立場を示しました。
あわせて、混雑が続く加盟国へフロンテックス(欧州国境沿岸警備機関)の要員派遣を進めるなど、追加的な支援策も講じるとしています。欧州委員会と加盟国・業界団体との会合が7月7日に予定されており、今後さらに詳細な運用方針が示される可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象システム | EES(出入域システム/Entry/Exit System) |
| 緩和の内容 | 各国境管理当局の判断により、指紋・顔写真などの生体情報登録を一時的に停止可能 (パスポート情報の確認のみに簡素化) |
| 適用期間 | EES完全稼働(2026年4月10日)後90日間、最大60日間延長可能 最長で2026年9月上旬まで |
| 対象国・地域 | シェンゲン協定加盟国等29か国 (アイルランド・キプロスを除く。スイス・ノルウェー・アイスランド・リヒテンシュタインを含む) |
| 運用の判断主体 | 各加盟国の国境管理当局が個別に判断するため、対応は空港・時期によって異なる |
| これまでの実績 | 2025年10月の運用開始以降、約1億1000万件の出入域を記録。うち4万4000件超が入国拒否 (大半はビザ・渡航書類の不備が理由) |
主要空港における対応状況
リスボン空港ではEES運用が一時停止された経緯があるほか、ローマの空港でも夏季期間中の運用一時停止が伝えられています。
フランスのドーバー海峡沿岸の国境検問所でも同様の一時停止措置がとられた例があり、ギリシャでは英国籍の渡航者を対象に9月までEES登録を免除する措置が発表されています。
EES導入の経緯
EESは、非EU加盟国籍の渡航者がシェンゲン協定加盟国へ短期滞在目的で入域する際、従来のパスポートスタンプに代えて指紋・顔写真などの生体情報を電子的に記録する制度です。
2025年10月12日から段階的に導入が始まり、2026年4月10日に全面稼働しました。
全面稼働後、複数の空港で審査待ち時間の増加が報告され、2026年2月にはACI EUROPE・A4E・IATAの3団体が夏季ピーク期の混雑を懸念する共同声明をすでに発表していました。
欧州委員会はこれまで「大半の国境検問所では問題なく機能している」との立場を示してきましたが、今回のブルンナー委員による書簡や、フォンデアライエン委員長のアイルランド・コークでの発言により、技術的な課題への対応を継続する姿勢が示された形です。
免責事項および注意喚起
本記事に記載の情報は、記載時点(2026年7月8日)における公開情報に基づいています。EESの運用状況・手続きの詳細は今後変更される場合があります。
- 渡航前に必ず欧州委員会公式サイトおよび各国の入国管理当局の最新情報をご確認ください。
- 加盟国によっては、混雑緩和のため一時的にEES手続きを部分停止する措置が取られる場合があります。実際の空港での手続きは、渡航先・時期によって異なる場合があります。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、記事内容に基づいて生じた旅行上の損害・不利益、EES手続きによる遅延や入国拒否等について、当サイトは一切の責任を負いません。

