海外

2025.12.04

タイ|アルコール販売時間規制を緩和 - 午後2時~5時の販売禁止を撤廃

タイ政府は2025年12月2日、官報(ราชกิจจานุเบกษา)にてアルコール飲料管理委員会の新規則を公布し、1972年以来53年間続いてきた午後2時~5時のアルコール販売禁止を撤廃しました。

パッタナー・プロムパット保健大臣(アルコール飲料管理委員会委員長)が署名した本規則は、年末年始の観光繁忙期を前に、観光業界と小売業界から長年要望されていた措置を実現するものです。この規制緩和は12月3日から即日施行され、180日間の試行期間を経て継続可否が判断されます。

なお、180日間の試行期間終了前に観光業・小売業への経済効果や社会秩序の維持状況等の評価結果がアルコール飲料管理委員会に提出され、規制の恒久化 または 廃止が決定される予定です。

タイ政府公式官報(Royal Thai Government Gazette)|アルコール飲料管理委員会によるアルコール飲料販売禁止に関する発表

バンコク・ポスト(Bangkok Post)|Policy board lifts afternoon ban on alcohol sales

新しい販売時間(2025年12月3日~)

販売可能時間:午前11時~深夜0時(連続13時間)

以下の仏教行事日は、従来通り24時間アルコール販売禁止です:マーカブーチャー(万仏節)、ウィサーカブーチャー(仏誕節)、アサーラハブーチャー(三宝節)、カオパンサー(入安居)、オークパンサー(出安居)、その他国王・王室関連の特別な祝日等

時間帯 区分 備考
11:00 - 14:00 ✅️販売可能 従来通り
14:00 - 17:00 ✅️販売可能 新規追加(180日間試行)
17:00 - 24:00 ✅️販売可能 従来通り
00:00 - 11:00 ❌️販売禁止 従来通り変更なし

店内飲酒時間の特例

深夜0時までに注文したアルコール飲料は、午前1時まで店内で飲むことが可能となります。

なお、この措置は、営業終了時刻に客と店舗側のトラブルを防止するために設けられました。バンコク・ポスト紙によれば、ソポン・ザルム副首相は「客が深夜0時直前に注文した飲み物を急いで飲み干す必要がなくなる」と説明しています。

The Bangkok Insight|The Royal Gazette has lifted the ban on the sale of alcholic beverages and extended the hours for drinking in restaurants.

対象店舗と適用条件

販売可能な店舗

新しい規則が適用されるのは、タイ財務省物品税局から正式なアルコール飲料販売許可を取得している登録店舗のみです。

対象店舗
  • スーパーマーケット(ビッグC、ロータス、マックスバリュー等)
  • コンビニエンスストア(セブン-イレブン、ファミリーマート等)
  • 酒店・リカーショップ
  • レストラン・飲食店
  • バー・パブ
  • ホテル内施設

24時間販売が可能な例外施設

以下の施設では、従来通り24時間販売が可能です

24時間販売対象施設等
  • 国際空港内の免税店・店舗
  • ホテル内の販売施設(宿泊者向け)
  • 鉄道内の特別イベント(保健大臣の事前許可が必要)

歴史的背景:53年間の規制の歴史

 そもそもなんでアルコール販売時間に規制があるの?

タイの午後2時~5時のアルコール販売禁止は、1972年の軍事政権下で導入されました。
当時の目的は、公務員や国営企業職員が昼休みに飲酒して午後の業務に戻り、仕事の効率が低下することを防ぐためでした。

また、タイは国民の約95%が仏教徒で、仏教の五戒に「飲酒の禁止」があることから、政府はアルコール消費を抑制する政策を維持してきました。さらに、タイはアジアで最も高いアルコール消費率を持つ国の一つで、飲酒運転による交通事故死も多く、2019-2023年に約33,000人が死亡しています。

このため販売時間を制限することで過度な飲酒を抑制しようとしてきました。しかし53年が経過し、現代では公務員の勤務形態も変化。観光立国として国際競争力を高めるため、今回の規制緩和が実現しました。

1972年:規制の始まり

Bangkok Post紙とTravel And Tour World誌の調査によれば、午後2時~5時のアルコール販売禁止は1972年、タイが軍事政権下にあった時代に導入されました。

導入の理由:当時の軍事政権は、公務員や国営企業職員が昼休みにアルコールを飲んで午後の業務に戻り、業務効率が低下することを懸念。そのため、昼休み時間帯を含む午後2時~5時の販売を全面的に禁止しました。

2000年代:規制の明文化

2008年にアルコール飲料管理法(พระราชบัญญัติควบคุมเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ พ.ศ. 2551)が制定され、販売時間が法的に明確化されました:

  • 午前11時~午後2時
  • 午後5時~深夜0時
2022年:部分的緩和

Vino Joy Newsの報道によれば、2022年、タイ政府はホテル内の施設に限り、午後2時~5時の販売を特例で許可しました。これは、国際観光客からの苦情と観光業界からの強い要望を受けた措置でした。

2025年11月:改正法への批判

2025年11月、改正アルコール飲料管理法(第2号)が施行され、時間外にアルコールを飲んだ消費者にも10,000バーツ(約5万円)の罰金を科す規定が追加されました。

Thailand News紙によれば、この規定に対して:

  • → 観光業界から「観光客が混乱する」と強い批判
  • → 飲食店から「客とのトラブルが増える」と懸念
  • → 一般市民から「過剰規制」との声


これらの批判を受け、11月13日に国家アルコール政策委員会が午後2時~5時の販売禁止撤廃を決定しました。

まとめ

タイ政府による今回のアルコール販売規制緩和は、1972年の軍事政権時代から続く53年間の規制を見直す歴史的な決定です。午前11時から深夜0時まで連続してアルコールが購入できるようになり、観光業界・小売業界に大きな影響を与えると予想されます。

 ただし、180日間の試行期間後に継続可否が判断されるため、今後の動向を注視する必要があります。仏教祝日の販売禁止や年齢制限など、基本的な規制は引き続き有効です。

ポイント:
  • ● 53年ぶりの歴史的規制緩和
  • ● 午後2時~5時の販売が180日間試行的に解禁
  • ● 観光業界・小売業界に大きな経済効果が期待される
  • ● 仏教祝日の禁酒日は従来通り

主要ニュースソース:

  • ราชกิจจานุเบกษา(官報)2025年12月2日公布
  • Bangkok Post, December 3, 2025
  • Thai Rath, Matichon, The Standard(タイ主要紙)
  • ABC News / AP通信
  • Vino Joy News, Travel And Tour World
  • Kaohoon経済紙

公式問い合わせ先:

  • アルコール飲料管理局(สำนักงานคณะกรรมการควบคุมเครื่องดื่มแอลกอฮอล์)
  • タイ国政府観光庁(TAT)コールセンター:1672

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