2025.07.30
イタリア|ウエストナイル熱に関する注意喚起
イタリア国内においてウエストナイル熱の発生が報告されています。特にラツィオ州ラティーナ県ではクラスター化し、報道等によると患者は40例以上(死者6例を含む。7月29日15時現在)となっており、他にもカゼルタ、モデナ、パドヴァ、トリノ、トレヴィーゾ、ベネチアの各県で散発的に症例が報告されています。
同疾患は蚊が媒介します。症例が報告されている地域にお住まいの方や旅行等をされる方は、蚊に刺されないようご注意ください。
ウエストナイル熱の概要
ウエストナイル熱(West Nile fever、西ナイル熱とも)は、蚊によって伝播するウエストナイルウイルス(西ナイルウイルス)による感染症です。感染者のうち80%は無症状で経過します(有症状率は20%)。発症する場合の典型的な経過は、以下のようになります。
- 潜伏期間(蚊に刺されてから症状が出るまでの時間)は通常2~6日
- 発熱・頭痛・咽頭痛・背部痛・筋肉痛・関節痛が主な症状です(ありふれた症状ですので、インフルエンザなどと区別がつきません)
- 発疹(特に胸背部の丘疹が特徴的。痒みや疼痛を伴うこともある。)・リンパ節が腫れる・腹痛・嘔吐・結膜炎などの症状が出ることもあります
- 感染者の0.6~0.7%(発症者の3 - 3.5%)が脳炎を起こします。中枢神経系を犯され、激しい頭痛・高熱・嘔吐・精神錯乱・筋力低下・呼吸不全・昏睡、不全麻痺・弛緩性麻痺など多様な症状を呈し、死に至ることもあります
- 特異的な治療はないため、対症療法のみでの治療となります
予防・感染経路
ウエストナイルウイルスの増幅動物は鳥です。鳥からの吸血時にウイルスに感染したイエカやヤブカなどに、ヒトが刺されることで感染・伝搬します。ヒト同士の直接感染は起こりませんが、輸血と臓器移植は例外となります。
ヒト用のワクチンは実用化されていません。重篤な症状に至るケースは特に50歳以上に多いとされています。蚊に刺されないことが予防の基本となります。蚊に刺されないための具体的な対策は以下の通りです。
- 感染地域の把握(特に夏場)
- 長袖、長ズボン、ソックスなど身体のほとんどを覆う衣服を着用してください
- 次のいずれかの有効成分を含む虫除け剤を使用してください。→ディート・ピカリジン・PMD・IR3535
- 窓が網戸等で覆われていることを確認してください
- 蚊が部屋にいるときは即効性の殺虫剤をスプレーして、蚊を駆除してください
- 可能であればエアコン付きの宿泊施設を選んでください
蔓延防止対策
ウイルスを媒介する蚊(ボウフラ)の駆除。居住者は庭やベランダに水たまりを作らないようにする。(クーラーの室外機の下・鉢植えの水受皿・空き缶などの野外放置など)
(問い合わせ先)
在イタリア日本国大使館
電話:06-487991(領事班)
ホームページ:https://www.it.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
○ 外務省領事サービスセンター
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903