2026.03.31
日本発着航空機内でのモバイルバッテリーの使用が全面禁止に(2026年4月中旬予定)

2026年3月27日、国際民間航空機関(ICAO)は理事会において、航空機内でのモバイルバッテリー(パワーバンク)に関する国際基準の緊急改訂を正式に採択しました。
新基準では、乗客1人あたりの持ち込みを2個まで(160Wh以下)に制限し、機内での使用(他の電子機器への給電)および充電を全面的に禁止しています。この新基準は採択日と同日の2026年3月27日付で即時発効し、ICAO加盟193カ国に通達されています。
日本では、国土交通省がこのICAO新基準に準拠する形で「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」の一部改正を進めており、2026年4月中旬の適用開始を目指しています。対象は日本の空港を発着するすべての航空便(国内線・国際線、外国航空会社を含む)です。
なお、すでに韓国、欧州、東南アジア、中東、オセアニアなどの主要航空会社20社以上が、ICAO基準に先行する形で機内でのモバイルバッテリー使用禁止を実施済みです。
国際民間航空機関(ICAO)|New power bank restrictions will safeguard international aviation
国土交通省(MLIT)|モバイルバッテリーを機内持ち込みする場合の基準の変更について
- 2026年4月中旬以降(予定)、日本発着便を利用する旅行者は、機内でモバイルバッテリーを使用してスマートフォンやタブレット等を充電することができなくなります(海外航空会社では同様のルールがすでに施行されている場合があります)
- 座席のUSBポートやコンセントを使ってモバイルバッテリー本体を充電する行為も禁止
- ノートPCやスマートフォンなど電子機器に内蔵されたバッテリーの使用は従来通り制限されません
(外付けの充電用バッテリーは「持ち込みは可能だが使用は不可」という扱い) - 搭乗前に空港のコンセントやUSBポートを活用してデバイスを十分に充電しておくか、座席に備え付けの電源がある場合はそちらを利用する

旅行者への注意喚起
| 項目 | 現行ルール (2025年7月~) |
新ルール (2026年4月中旬~) |
|---|---|---|
| 機内持ち込み | 可 (預け入れは不可) |
可 (預け入れは引き続き不可) |
| 持ち込み個数 | 100Wh以下は制限なし 100Wh超〜160Whは2個まで |
160Wh以下のモバイルバッテリーと 100Wh超の予備電池を合わせて1人2個まで (※100Wh以下の予備電池は算入せず) |
| 機内での使用 (他機器への給電) |
可 (目視できる場所で) |
禁止 |
| 機内での バッテリー充電 |
可 (座席電源から) |
禁止 |
| 保管場所 | 座席下や手元 (収納棚は不可) |
座席下や手元 (収納棚は引き続き不可) |
| 容量上限 | 160Wh以下 | 160Wh以下 (変更なし) |
日本での施行スケジュール
国土交通省は2026年2月27日に告示改正案を公表し、同日からパブリックコメント(意見公募)を開始しました(募集期間:2026年3月30日まで)。ICAO理事会での採択(3月27日)を経て、4月中旬に航空法に基づく告示および運用通達の改正を行い、新基準を適用する予定です。
なお、2月18日の時点でNHK等の報道により方針が明らかになっており、国交省から定期航空協会への説明も行われていましたが、各航空会社への正式通達は告示改正後となります。JALは「定期航空協会と連携して改正に関する情報収集を行うとともに、お客さまに快適にご利用いただけるよう機内設備の検討を続けていく」、ANAは「国交省から正式な通達があり次第、その内容に沿って対応していく」とコメントしています。
先行して機内での使用禁止済みの主要航空会社
多くの航空会社が既に機内でのモバイルバッテリー使用禁止を導入しています。
海外の航空会社を利用する際にはモバイルバッテリーの機内使用が禁止されているケースがありますのでご注意ください。
なお、今回のICAO採択により日本同様に新たに「モバイルバッテリーの持ち込みを2個に制限」すると発表している外国航空会社(エバー航空やキャセイパシフィック航空)もありますので、詳しくは各航空会社ウェブサイト等にてご確認ください。
エバー航空(EVA AIR)|機内におけるモバイルバッテリー使用規程を改定
キャセイパシフィック航空(Cathay)|Restrictions on the carriage of lithium battery power banks
香港エクスプレス(HK Express)|旅行に関する重要なお知らせ
| 地域 | 航空会社 | 禁止開始時期 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 韓国 | 大韓航空 | 2026年1月26日 | 機内での使用・充電を全面禁止。 端子の絶縁処理(テープ・個別ポーチ)を推奨。 座席上収納棚への収納は不可。 |
| アシアナ航空 | 2026年1月26日 | ||
| ジンエアー | 2026年1月26日 | ||
| エアプサン | 2026年1月26日 | ||
| エアソウル | 2026年1月26日 | ||
| チェジュ航空 | 2026年1月22日 | 同様に機内での使用・充電を禁止。 | |
| 欧州 | ルフトハンザグループ | 2026年1月15日 | 全グループ12社統一で機内使用・充電を禁止。1人2個まで。医療機器用のみ例外。EASA勧告に基づく。 |
| 東南アジア | シンガポール航空 / スクート | 2025年4月頃 | 使用・充電禁止。1人2個まで。 |
| タイ国際航空 | 2025年3月15日 | 機内での使用・充電禁止。 | |
| エアアジア | 2025年4月1日 | 機内での使用・充電禁止。 | |
| 台湾 | エバー航空 | 2025年2月28日 | 機内での使用・充電禁止。2026年3月31日より、一人当たりの持ち込みは2個まで |
| チャイナエアライン | 2025年2月28日 | 機内での使用・充電禁止。 | |
| 香港 | キャセイパシフィック航空 | 2025年頃 | 機内での使用・充電禁止。2026年3月30日付で、一人当たりの持ち込みは2個まで |
| 中東 | エミレーツ航空 | 2025年頃 | 機内での使用禁止。持ち込みは可。 |
| カタール航空 | 2025年頃 | 機内での使用禁止。持ち込みは可。 | |
| オセアニア | カンタス航空 | 2025年12月15日 | 使用・充電禁止。1人2個まで。 |
| インド | インド各社(DGCA指令) | 2026年1月頃 | インド民間航空総局(DGCA)の指令に基づき、全インド航空会社で機内使用禁止。 |
規制強化の背景
今回の規制強化の直接的な契機となったのは、2025年1月28日に釜山・金海国際空港で発生したエアプサンBX391便(エアバスA321型機)の火災事故です。出発準備中に座席上の収納棚に入っていたモバイルバッテリーが原因とみられる火災が発生し、乗客27名が負傷、機体は全損しました。
その後も世界各地で機内でのリチウムイオン電池関連の発煙・発火事故が増加しています。日本国内でも2025年10月にNH994便(那覇→羽田)で座席下のモバイルバッテリーから煙が発生する事案が報告されています。米国連邦航空局(FAA)も2025年に機内でのリチウム電池関連インシデントの増加を指摘しており、ICAOはこれらの事態を受けて危険物パネル(Dangerous Goods Panel)での検討を経て、国際基準の緊急改訂に踏み切りました。
リチウムイオン電池は外部衝撃や高温環境、製品の劣化などにより内部短絡(ショート)を起こすと、熱暴走と呼ばれる急激な発熱反応を起こし、発煙・発火に至る危険性があります。特に、モバイルバッテリーはノートPCやスマートフォンと異なり内蔵の温度管理機構を持たない製品が多く、充電中や使用中に異常が発生した場合のリスクが高いとされています。
免責事項および注意喚起
本記事の情報は2026年3月31日時点のものであり、ICAO基準の発効後の各国・各航空会社の対応状況に基づいています。
今後、告示の正式改正に伴い内容が変更される可能性があります。
- 日本における新基準の正式な適用開始日は、国交省の告示改正を経て確定します。4月中旬が予定されていますが、変動の可能性があります。
- 航空会社ごとに独自の追加規制(個数・容量・事前承認の要否など)を設けている場合があります。搭乗前に利用する航空会社の最新のガイダンスを必ず確認してください。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、当サイトは本記事の情報に基づく損害について一切の責任を負いかねます。


